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牛久のchaiksのレビュー・感想・評価

牛久(2021年製作の映画)
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「知らずにいること」

知りたくないことを知らないでいること、見たくないものを見ないでいること。私たちは楽をしたい生き物でもある。

まもなく上映が終わる。
嵐が近づく豪雨のなかどうしても観ておきたかった。
以前、TVのドキュメンタリー番組で難民認定や入管施設の問題を初めて知った。その後、ウィシュマさんの事件が起こり、マスコミに取り上げられることで世間に知られることが格段に増えた。
そして「牛久」。当初、無知であったが故に驚きと羞恥が先にきたが、それは悲しみから疑問に色を変えた。

彼らはなぜこの国を選んで来たのか
彼らはどんな夢を描き貢献しようとしていたのか
彼らを閉じ込め怒鳴りつけた側の主張はどうなのか
彼らのことをどれだけの人が気付いているのか
五輪選手やウクライナの方々との違いはなんなのか
知りたいことが山ほどあった。聞かされ映された入管施設での待遇や懲罰での酷い仕打ちは明らかだが、問題の根源は一向に改善しようとしない無責任なシステムと無責任なこの国の負のループ。

私は社会活動家ではないし、ボランティア活動もデモにも表立った行動を率先してしたこともない一市民だ。けれど時々どうしようもなく未熟なこの国をひっくり返して、少しでもズルい大人がいない世界に近づけたならと夢想する。 
責任者が責任を自覚し行動しないこと
国を彩っているのは一体誰なのかということ
幼いころからの意識と自覚が私たちには余りにも足りないということ

この国の数々の問題は、感情的に激高し熱が冷めれば忘れてしまうに慣らされるのではなく、「静かに穏やかに人として当たり前の芯を揺るぎなく持ちながら、偏ることなくじっと見続けること、知り続けること、そして考え続けること」が必要だと感じている。
「入管の歌」「やさしい猫」
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