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マーターズのArxのレビュー・感想・評価

マーターズ(2007年製作の映画)
3.4
この映画を「面白かった」とうっかり口にしてしまうと色々と語弊がありそうなので「感心した」という言い方にしておこう。

前半はまず展開のうまさというか、サスペンスを途切れさすことなく物語を自然に二転三転させていくストーリーテリングが巧妙。過去のトラウマを示唆しながら、彼女は正当な復讐を果たしたのか単に狂人となっているだけなのか?
後半になり一気にムードが変わっていく。しかし普通の映画であればこの拷問シーンで残酷描写のレベルもどんどん上がってくるはずなのだが、むしろ意図的にテンションをダウンさせている。こういう感じだ。
ペースト状の飯を食べさせられるシーン→ブラックアウト→男に殴られるシーン→ブラックアウト→体をタオルで拭かれるシーン→ブラックアウト...

ある種ここから賛否が分かれてくるというか、このテンポ感といいラストといい、単なる悪趣味スプラッターフィルムの範疇からも外れていく。この結末が妥当かどうかはなんとも言えないのだが、想像していなかった所に連れて行ってくれたのは確かだ。あと、被害者が女性だからといって今作が例えばダリオアルジェント作品のような女性蔑視的・エクスプロイテーション的な表現をしているとは全く思いません。男性監督がそういうシーンを撮ってることが即ちそういう思想だと思っているのであればあまりに貧しい物の見方だなと。
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