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アルマゲドン・タイム ある日々の肖像のArxのレビュー・感想・評価

4.0
この映画には多くの不公平・矛盾がある。
人種差別(白人と黒人はもちろん主人公の出自であるユダヤ人種)、レーガンを嫌悪するリベラルでありながら息子をドナルドトランプも通っていた名門私立に行かせる父親。

その壁にぶち当たり、根拠のない万能感を持っていた主人公(家は裕福だと序盤でしきりに言っていたがどう見てもアッパーミドルがいいところ)は無力感に苛まれその解決としての突飛な逃避を提案する。その結果、余りに苦々しい終わり方を迎えるが、これは子供期のイノセンスを失ってしまうことと併せて映画で描かれる社会の矛盾に未だ解決の糸口がない事への苦味も感じさせる。そしてまた監督の自伝的映画として自分がそのような社会構造に(意図せず)加害者になってしまったという後悔も感じさせる。
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