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ウルフ・オブ・ウォールストリートのArxのレビュー・感想・評価

3.6
一言で言うと「グッドフェローズ」のホワイトカラー版。
これは褒め言葉としていうが、とにかく金・ドラッグ・セックスと騒々しく下品で長い(3時間)映画なのに見た後には一握りの虚脱感しか残らないというのがある意味恐ろしい映画である。

ラストシーンも嫌な後味を残すが、その一つ前、刑事デナムがジョーダンを見事に刑務所にぶち込んだ後に通勤中の地下鉄の周りを見回すシーン。おそらくこの時、彼は以前ジョーダンから言われた「お前は一生汚い地下鉄で通勤して人生を終える」という言葉を思い出していたのだろう。ジョーダンの様な極端なライフスタイルが羨ましいと思うかは別として、多額のお金があればもっと違う人生があるのではないかとふと考えることは誰にでもあるだろう。刑事のような人間ですらそう思うのだから、我々もそうなのだ。3時間弱ある意味安全圏でジョーダンの栄枯盛衰を見てきた観客をこの些細なシーンで急に刺しにくる所が一番印象的だった。
結局のところ、この世界がお金を中心に回っている限り誰もジョーダンを完全に否定することはできないのかもしれない。
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