へたれ

ザ・ホエールのへたれのレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
2.6
良かったとこ 巨漢デブのリアルさ
ファットスーツとメイクによって、270キロの巨体を見事に造型していたのが良かった。毎日4時間かけたというメイクも見事だし、この巨体を着こなして演じきったブレンダン・フレイザーもお疲れ様としか言えない仕事ぶり。
ところどころに挟まる巨漢デブならではの生活エピソードも相まって、介護ドキュメンタリーのような趣きがあった。

ダメだったとこ ムダが多い脚本
まず、どの人物も自分の感情を言葉で喋りすぎで、俳優に演技をさせる隙を与えさせない。
「白鯨」に関するエッセイが何度も読まれるけれど、文章の引用が見せ場になるのは舞台だからこそ有効な技で、映像が前面に出る映画では読書感想文レベルのエッセイのつまらなさの方が目立った。
だからといって、しきりに引用される「白鯨」自身とこの映画のストーリーがなかなか重なってもこない。白鯨を捉えることに固執するエイハブ船長と、娘の人生に固執し義足ではなく歩行器を使う主人公を重ねたいのか、それとも「白鯨」と同様に神の無慈悲さにテーマを繋げたいのか、何にせよメッセージが適切に伝えられる脚本にはなっていなかった。
さらに、モルモン教をイメージしていると思われる宣教師と娘のシーンについては、このストーリーと関係無く成立するので、取ってつけた感がある。
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