Leaf

ハッチング―孵化―のLeafのレビュー・感想・評価

ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)
4.0
北欧ホラー。
宣伝観てたらやっぱり面白そうで、テーマ的にも好きそうだったからちょっとだけビビりながら鑑賞。
グロとか苦手な自分は余裕とは言わないけど、普通に観れる程度ではあった。

母親の求める満たされた生活に支配される娘の構図。ある日見つけた卵を育てていると、"それ"が生まれて...

作品のメタファー表現としてはかなり分かり易い部類になると思う。でもそこは北欧映画、映像が美しく仕上がれば仕上がるほど醜さが浮き立つ感じが素晴らしい。
特に作品のテーマとこの先を彷彿とさせるファーストカット、そこからの暗示的な小さなアクシデントは秀逸。象徴的な子守唄もいい仕事してます。

序盤から"素敵な生活"が誰にとってなのか露骨なまでに見せつけてくれる。
鑑賞して印象に残るのはその性格の悪さが滲み出る母親のいくつかのセリフ。

本当に、子供に自分の幸せをそこまで背負わせないで!そんで子供に自分の存在意義的な部分を心配させる環境にしないであげて!
居場所は与えてあげるものであって、探させるものではないんだと強く感じさせる。
親だって人間だし、そんな完璧で居続けられるわけはないと思ってはいるけど、明らかに子供にかかる負担が大きすぎる。

いや、それが今作の狙いだろうからいいんだけど、単純に辛い。断られないのをいいことに罪悪感消してるのかもしれない。ただ大事な前提は思ったことが言える環境にあったのかどうかということ。
どこか対照的な弟がいることでお姉ちゃんであることの理不尽さとも言える立ち位置が際立っていて良かった。
途中少し見えたように感じた希望も、あの立場の人間なのがとてつもなく皮肉的である。
そして、彼女が内に抱えられず吐き出し続けるもので徐々に存在として大きくなっていく"それ"。
どっちか2択だな、と思って観ていたラスト、こっちなら嬉しいなと思ってた方だったので大変好き。その先の想像が捗る。

主人公役としてオーディションを勝ち抜いたお子さんは安定の素晴らしさで完璧な雰囲気だったのと、
話は少し飛んで、会社の風土改革でも風通しを良くするとか絶対出てくるけど、具体的にどうするかって実際かなり難しいよねとフワッと感じたという投げっぱなしな話題で締め。
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