中国発のフル３Dアニメ。
日本のアニメーションスタイルの呪縛からいよいよ解き放たれ、世界基準のルックとアニメーション、ストーリー作りを明らかに目指し始めたことを強烈に感じることができる。
コメディ部分の演出力、キャラクターデザインの熟練度合いなどはまだまだアラが目立つものの、変に照れず気を衒わない王道キャラクター配置とストーリーラインと、何より３D獅子頭の美しさ、動きの気持ちよさには目を見張るものがある。
都会と田舎、貧と富の差に作り物めいた極端さを感じるかもしれないけれど、これは中国圏にいくと決して現代においてもフィクションでは無いことがよく分かる。
先日訪れた台湾でも、日本でいうところの東京駅である台北駅近辺の近対的なビルのすぐ隣に、昭和初期から残っているような薄汚れた建物や路地がびっしりと並んでいる。
それこそが人が生きている証であり、人間の強い生命力を感じる風景で、僕はそんな風景や街の活気が大好きでまた行きたいと思うのだけれど、本作でもそこかしこで明確にその強さを感じることができた。
その上で、何度も挫折しながら挑戦して人生を逆転しようとする主人公たちの前向きな姿に、素直に感動できる作品だと思う。
