ohassy

首のohassyのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
3.0
年を重ねた人間が作るものは、どこか雑さを感じることがあるかもしれない。
それはきっと、人間は年を重ねることで許容範囲が広がり、優しくなるからだ。
うん、まあいいやOK、こうしてこうしてこうすれば成立するわ。
そんなふうに考えられるようになる。
個人的に、「乱」以降の黒澤映画はその印象が強い。
スピルバーグだけは全然そうならない、なんで?

アウトレイジの1以降をちゃんと観ていないので正確なことは言えないけれど、北野映画もどんどん乱暴な作りに感じる作品になってきているんじゃないだろうか?
本作も、やりたいこと、作りたいシーンを乱暴にどんどん繋ぎ合わせたような展開で、わけわからん!ってなりそうだけれど、その乱暴さというか、思い切った編集は、個人的には笑いのポイントだった。
これは映画なのか?と思っちゃうようなコントがあるかと思えば、しっかりお金をかけた、角川映画!って感じの大規模な合戦シーンもあって。
つまんないと感じる瞬間はなかったように思う。

戦国武将の衆道について、ちょっと考えた。
毎日好きなだけ選び放題で女を抱けるはずなのになぜ?
戦場に女性を連れていけないという環境もあるだろう。
でも根本は、好きなだけ選び放題で女を抱けるから、ではないだろうか。
そこには張り合いというものがない、無理目な相手にこそ性欲を求めるものなのだ。
だからこそ、対等な立場で駆け引きができる、断られる可能性を秘めた相手、つまり殿様同士で惹かれ合うことになるのだろう。
うん、違うかも。

終わり方も笑ったな。
首というタイトルを掲げ、大将首こそが全てにおいて優先される世界を描く作品の終わり方としてとても面白い。
自分で作った映画自体を丸ごと自分で蹴っ飛ばしたような爽快感。
ohassy

ohassy