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イコライザー THE FINALのohassyのレビュー・感想・評価

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)
3.5
憧れの存在・マッコールのファイナルステージ。
ジョン・ウィックのような派手さは微塵もないが、そこが痺れるポイントでもある。
世界最高峰のスパイが市井の人々を助けるというのは、転生してチート能力で無双しまくる最近の作品群と全く同じ構成で、なるほど人はこういうものが好きなのだ。

何の見返りも求めず、理不尽な目に遭ってしまった被害者を救いながら、自らも救われ続ける不眠症の男が辿り着いた場所は、坂と入り組んだ小道ばかりの小さな街。
坂と入り組んだ小道ばかりの、美しいけれど住みにくそうな街に、僕もいつか住みたい。
きっと不便で大変だろうが、それがいい。
尾道も良かったけれど、長崎の大浦天主堂付近は理想的だった。
海も近い。
マッコールのように、旅行のように焦らず「生活」することで少しずつ土地の空気に馴染み、人とゆっくり穏やかに交流する。
住み着いている猫とちょっとずつ仲良くなって、新しい居場所を作る。
そんな人生の最期に、無性に憧れる。

本作だけを観ても、きっとその魅力は半分も伝わらないだろう。
ぜひオリジンを鑑賞してほしい。
自らが希望して始めた隠居生活に馴染むことに苦労する初老の男と、娼婦を演じるクロエ・グレース・モレッツの(異常な)魅力だけで映画前半を引っ張ってしまうキャラクターの強さ。
あの描写があってこそのTHE FINALだ。
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