Oto

生まれゆく日々のOtoのレビュー・感想・評価

生まれゆく日々(2021年製作の映画)
3.7
長久監督『DEATH DAYS』のメイキングドキュメンタリーを『彼女来来』の山西監督が撮った作品。湯川ひなさんのナレも素敵。

数日間の衣装合わせ・本読みと4日間の撮影に密着しているけど、想定した以上にハードで大掛かりな準備と撮影で、観ていても気が遠くなりそうだった。
ちょうど『カウンセラー』の「超ホワイトな撮影」メイキングを観た後だったからその分落差を感じて、やっぱり自分が自主映画で経験してきたように綺麗事だけじゃ作品はつくれないんだなと改めて思い知った。その分、あれだけの熱量を持って創作にとりかかれるスタッフとキャストを羨ましく思った。

美術や撮影への圧倒的なこだわりという作家性も大きいのかもしれない。セットをがっつり作っているの知らなくて、てっきりちょうどいいスタジオを装飾しているくらいなのかなと思っていたけど、転換がめちゃ大変そうだった。香盤も31歳→40歳→30歳→20歳で想定外だった。
そして、「YouTubeで無料公開した短編」という規模から想定した以上に多くの人が作品に関わっていて、一人でできることの限界みたいなこともすごく感じた。雑談で「余裕を持って撮影できたことが人生で一度もない」みたいなことを言っていたけど、演出に専念していてもそうなるのか〜、やっぱり面白い作品をつくるひとは面白い作り方をつくっているな〜と改めて感じた。

FM999とか舞台とか過去作も見直したいな〜という熱が高まっている。

トークショー
・彼女来来の舞台挨拶がきっかけで監督を依頼。コメントを映画にもらっていたり、はじめは劇団子供鉅人の公演をみにいったのがきっかけだった。
・彼女来来が奇妙な眼差しの映画だったので、もしドキュメンタリーを撮ったらどうなるか興味が湧いた。森田さんも舞台を見に来てくれて、「BGMが聴こえるくらいゆっくり話すな」というのが第一印象。
・肩なめすらも気持ち悪い長久さん。カメラマンの米倉さんには彼の視点をドキュメンタリーでも感じるのが好き。石橋さんのロッキングチェアとか、監督も基本的にはカメラマンに任せていた。
・記憶力が悪いから、撮影しながら山西さんはメモを取っていたけど、長久さんには見せてくれない。他の監督の演出を近くでずっと眺められる機会ってあまりないから楽しかった。
・役者へのインタビューを本当は1人20分くらい撮っていたのに使っていない。森田さんに関しては1時間くらい、なのにあそこを使っている面白さがある。長く考えたのちにご飯の話をしたり、現場では役が抜けなくて号泣したりしてたのに。
・でもたしかに食事って最重要な営みだしご飯食べてるときは皆んな元気だなと気付かされた。インタビューきっかけでご飯のモノローグを入れようと決めたし、デスデイズも実はご飯を撮っている作品。
Oto

Oto