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リボルバー・リリーのbossのレビュー・感想・評価

リボルバー・リリー(2023年製作の映画)
2.6
予告編を観て邦画本格ガンアクション映画の最新進化系が観られるかも?と期待して観に行ったが、残念ながらいつもの邦画だった。
ただ、希少な邦画ガンアクションというジャンルに畑違いながら挑戦してくれた行定勲監督には感謝。

【あらすじ】
16歳からスパイとして暗躍し、わずか3年で57人の殺害に関与した過去を持つ小曾根百合は、何者かに家族を殺害された少年、細見慎太に助けを求められる。彼は帝国陸軍資金の鍵を父親から託されており、それを奪おうともくろむ陸軍に追われていた。慎太を助けようとする百合だったが、陸軍の追手はすでに2人のすぐそばまで迫っていた…

日本でガンアクション映画をやる上での大正時代という舞台設定は割と説得力があり、それは良かったと思う。
(個人的に現代日本でガンアクションやられるのはリアリティがなく凄く抵抗がある…)
また、綾瀬はるか、長谷川博己、シシドカフカ、古川琴音らの役者陣の演技力がこの映画をかなりの部分を支えていて、役者の方々は素晴らしいと思った。(板尾さんは感情的にキレるキャラと相性最悪だと思うので、さすがにキャスティングミスだと思う)

原作の舞台設定、役者陣の演技力…
本作の良かったところはそこらへんだけかもしれない…

あとはせっかく日本でガンアクションジャンルをやってくれてるから我慢して見守る…という感じで観ていたw

端的に言えば、いわゆる文学臭い時代劇?恋愛劇?が得意?な行定監督とアクションジャンルとの相性が悪い。これに尽きると思う。
また、行定監督のアクション映画へのこだわりなき、リスペクトなき故の適当さ(定型的な演出)が悪目立ちしていた気もする。
今のアクション映画って、何も考えずドンパチさせてる作品なんて一切評価されないっすよ。マジで。

もう正直、ダメなところを言い出したらキリがないんだけど、個人的にここ酷いなーと思ったポイントは…

冒頭、一家拷問殺害現場を床下に隠れてやり過ごし(ここのシーン自体は悪くなかった!)、その後、山奥の隠れ家になんとか逃げ込む少年のシークエンス。
この少年が着ている衣装(白いシャツ)がまぁ汚れなくピカピカで眩しいくらい白い白いw
殺人現場の床下から命からがら逃げ出し、山道を必死に下ってきた子供の衣装に"汚れがない"…という演出()。
100歩譲ってこういう細かいリアリティ部分の省略は映画中盤以降とかにさらっと出てくるならまだ分かるんだけど、映画冒頭のこの作品の印象を左右する大事な掴みのシーンでこういうお座なりな演出を見せられるとマジでガッカリしてしまう。

あと、少年を助けることになった正体不明(なはず?)の元スパイ小曽根百合が、なぜか不殺の誓いを立てていて敵を殺さずにやっつけるんだけど、その敵複数人が足元で痛みに悶絶していて意識ある状態の中で、「あたいの名前は小曽根百合!君の名は?」みたいな少年との大声自己紹介を始めて爆笑。
いやいや、敵に正体バレますやん!ってツッコミたくなったw(事実、この後正体バレる)

一事が万事こういう杜撰な脚本とリアリティを欠く演出が劇中ずっと続くので、そら観客の興味も削がれてしまうのは仕方ないと思う。それを何とか繋ぎ止めてるのは本当に役者さんの力のみだった。

ラストの強行突破の下りもジャンル映画のキモが何にも分かってなくて最悪なんだけど、個人的にはあそこでもし仕立て屋の野村萬斎が作った衣装に鉄のプレートが裏加工されていたら…?そしてその野村萬斎自身も実はスパイ仲間だった的な設定で戦いに参戦してくれていたら…?もうちょっと評価が上がっていたかもしれないw
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