『サイドウェイ』『ファミリーツリー』のアレクサンダー・ペイン監督最新作。
めちゃくちゃ心温まる素敵な素敵な1970年代風味のクリスマス映画なんだけど、日本公開は遅れてほぼ夏な6月公開…
自分も冬に観て、映画館からの寒い帰り道に本作を思い返しながら心をホクホクさせて家に帰りたかったぜ…
【あらすじ】
1970年冬、ボストン近郊にある全寮制学校のバートン校。
クリスマス休暇で生徒と教師のほぼ大半が家族と過ごすなか、教師ハナムは校長から家に帰れない生徒たちの“子守役”を任命される。
学校に残ったのは、勉強はできるが捻くれ者の問題児アンガス・タリー(ドミニク・セッサ)。
ベトナム戦争で息子を亡くしたばかりの料理長メアリー・ラム(ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ)。
そして、生真面目で融通が利かず、生徒からも教師仲間からも嫌われている考古学の教師ハナム(ポール・ジアマッティ)。
あまり接点のなかった3人は、誰もいない学校でクリスマス休暇を一緒に過ごすうちに、少しずつお互いのことを理解し始める…
いやー、大傑作でしょ。
誰もいない全寮制学校、クリスマス休暇(年末年始まで含む)、生きてきた人生が全く異なる3人…
それぞれが違った孤独な境遇を抱えているんだけど、短くも濃い共同生活を通して、互いのことを口悪く罵り合いながらも相手のことを理解していき、やがて抱えていた孤独感が自然と癒やされていくという、もはや普遍的なザ・ハートウォーミング良質ドラマに仕上がっていて、もうこれは誰が観ても面白いと思う。
しかもただの良質ドラマなだけじゃない。本作の1970年代の古き良きアメリカヒューマンドラマ映画風味がもたらす何とも言えない懐かしさがマジで最高。
舞台設定やルックだけじゃなく、シナリオから演出、編集テンポにまで70年代風味が染み込んでるこの感じ。マジでたまらんかった。(主にハル・アシュビー監督作品に影響受けてるらしいが未見)
この懐かしい感覚、別に70年代米映画を知らなくても(自分も全然詳しくない)全然理解できると思う。要は現代的な過度な味付けのない、(ヒューマンドラマという)素材本来の素朴で懐かしい味の素晴らしさに気付かされるこの感覚。日本で例えるなら、70年代、80年代の山田洋次監督作なんかを今観て感じる懐かしさに近いかも。
現代映画に近づくにつれ、こういう映画は本当に少なくなってしまったからこそ、映画ファンを中心にめちゃくちゃ沁みてるんだと思う。
主要キャストの3人は皆もちろん最高なんだけど、脇役の居残り組メンバーやチョイ役の用務員さんまでとにかく全編良い人間模様に溢れている素晴らしい作品なので、災害級の暑さの避暑地として、ぜひ、季節外れのクリスマス映画はいかかでしょうか??
まぁ、観たら観たで心までホクホク熱くなっちゃうけどね♪w