志麻凛

かがみの孤城の志麻凛のレビュー・感想・評価

かがみの孤城(2022年製作の映画)
3.7
それぞれが持つ願いは果たして、未来の自分を虚像として映すか、或いは実像として映すか。その自然と湧き出る問いに葛藤し、紆余曲折を経る7人の中学生の物語。

つい先日の夕方、ふとテレビをつけたら辻村さんが、今作を映像化するならアニメ映画だと思って執筆したと、インタビューで語っていたので、更に今作が楽しみになりました。ほんで、公開日の本日に期待を胸に、自転車を走らせて見に行ってきました。

率直な感想、面白かった!「本屋大賞」という肩書だけでハードルが上がってしまうけれど、純粋に楽しめました。中学生ゆえのその場その場で出た、衝動的な願いの悔恨や淡い恋心の開花が、喜怒哀楽を添えて描かれてるからこその今作。同時間帯に見に来てた、中学生の子にはどんな風に見えたんかなぁ。

途中にある、こころ・アキ・フウカの女子3人で紅茶を飲むシーン。そこで初めて、こころが胸の内を包み隠さずに打ち明ける。また、きたじま先生が彼女の家に訪問し、話をしようとした際に持参したのも紅茶(ティーパック)。ストーリーにおいて、紅茶の存在が強かったことをエンドロールの余韻と共に顧みました。かくいう今感想を書いてる時に、そのことを噛みしめて紅茶を飲んでます。

一歩踏み出す勇気と仲間と支え合うことの大切さを反芻できる、良き作品でした。最後に、学校に行けないところの描きが、同じA-1さんの「エロマンガ先生」以上に切なくあって、「聲の形」のような辛さがありました。
志麻凛

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