『優しさって言うのは、自分の
言いたいことを3割我慢して、
相手の言いたいことを3割
聞いてあげることなんだよ。』
昔、サイン会に息子と並んだ。
目の前の辻村深月さんは、
柔和な雰囲気の女性だった。
『十角館の殺人』の影響を受け、
(まぁ十角館の殺人に影響を受けて
いない本読みはいないと思うけど)
自分のペンネームに綾辻行人さんの
辻の字を入れた辻村さんは、
ミステリーと、若者の繊細な心の
機微をも表現する稀有な作家さんで、
その文体や登場人物に対する視線は
実に優しいものだった。
辻村深月×原恵一。
ぼくのメジャースプーンと
カラフルやクレヨンしんちゃん。
そりゃ観るよね。
近所の書店で小さなモニターに
流れていた今作の予告編を、
見続けていた息子は僕に言う。
『お父さん、これ見たい。』
何が彼の琴線に触れたのか
わからないけど、元日の夕方
息子と2人で観に行く。
良かったです。
原作知ってるから、ストーリー丸々
知っているのに、感動しました。
小説では想像出来なかった城の内部、
各キャラクターの性格や外見が
知れて良かったです。
小説だから出来たストーリーの力。
アニメーションだから出来た映像の力。
終盤、心地よい風のように吹く伏線回収。
希望の物語。凄く良かったです。
息子と観た作品のパンフレットを
買い揃えている僕と、
涙を拭いながら『別に泣いてないよ。』
と涙を僕に見せないようにする息子。
見守る。誰が?そして誰を?
うん。ありがとう。本当にありがとう。
良かったです。読後感。エンドロール。
誰一人席を立たなかったな。
そんなこと、ここ最近なかった。