ぎー

さかなのこのぎーのレビュー・感想・評価

さかなのこ(2022年製作の映画)
3.8
【沖田修一特集1作品目】
滅茶苦茶面白かった。
正直さかな君について詳しいわけではないけど、好きな事を突き詰めて、色んな雑音に惑わされずに生きているさかな君は本当に素敵だなって思った。
映画の中でさかな君が言っていた通り、「好きなものに勝るものはないでぎょざいます」なんだと思う。
現代社会で、特に日本ではどうしても人は他人の目線を気にして"普通"になろうとする。
さかな君は全然違った。
きっとそれはさかな君の持っている天性のもののおかげでもあったし、さかな君の周りの人々、特に映画で井川遥が演じたお母さんのおかげでもあったんだと思う。
"普通"ではないさかな君を受け入れ、愛する寛容さがあった。
そのおかげでさかな君の持っている素晴らしい才能が傷つけられることなく世の中に送り出された。
大人になったら今だからこそ、"好き"を突き詰めている人を本当に素敵だなって思えるけど、子供自体はどうだったか?子供に対してはどう思えるか?
どうしても色んなリスクを考えて、"勉強した方が良い""部活をやった方が良い"となってしまわないだろうか。
モンテッソーリ教育が世の中を席巻しているけど、確かに好きな事をやった方が良い、というのは一つの道だと心の底から思えた。

恥ずかしながら沖田監督の映画は初鑑賞だったけど、素晴らしかった。
ずっと笑って見てられて、最後にぐっと心を掴まれた。
こんなに優しい気持ちになれる映画はなかなかない。
この後『南極料理人』とかを見て行くつもりだけど、とにかく楽しみ。
キャストも良い。
柳楽くんや夏帆など演技派が並ぶけど、とにかくのんがすごい。
実はのんの映像作品も見るのは初めてだったけど、さかな君じゃないけど、のんものんにしかない天性の素晴らしさを持ってるんだなって思った。
演技が上手い、とかでは言えない何かだと思う。
だから、世間の皆が知ってる実在の性別が違うさかな君を演じているのに全く違和感がなく、映画を観た全員がこのキャスティングで良かったと思える演技だった。

笑って笑ってちょっと泣いた。
優しい気持ちになりました。
ぎー

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