ぎー

ジョゼと虎と魚たちのぎーのレビュー・感想・評価

ジョゼと虎と魚たち(2003年製作の映画)
3.5
アニメ版を鑑賞するつもりだったのが、誤って実写版のこちらを鑑賞。
でも、かなり良い作品だった。
まず、今では日本を代表する演者たちが本作ではかやり若々しく初々しい。
妻夫木聡、池脇千鶴、上野樹里。
妻夫木聡や池脇千鶴は現在と大きく変わらなかったが、上野樹里は昔はこんなにも色っぽさを全面に出していたんだ、と意外だった。
そして各所で絶賛されている通り、池脇千鶴の演技は迫真だったろう。
たくましい、でも弱さもあり、ただ生きていくためにやはりたくましい。
池脇千鶴がジョゼの祖母は、最近の映画ではめっきり見なくなった、典型的な"老いた"おばあさんだった。

恋愛映画はすでにあらゆるパターンがやり尽くされたと思っていたが、本作で描かれる恋愛は新しく、考えさせられるものだった。
自分で歩くことのできない女性との恋。
この物言いが既に健常者からの物言いになっているが、逆にジョゼから見れば"自分で歩くことのできる男"との恋。
自分で歩けるか歩けないかに関わらず、人はそれぞれ個性があって、だから恋もその個性がずれていたり合っていたりして行われるもの。
ジョゼと一緒にいる時の主人公恒夫はとても幸せで楽しそうだったから、言葉を選ばなければ、彼らの恋が終わった要因は"ジョゼが歩けなかったから"であり、"恒夫が負担に感じだから"ということ。
これは綺麗事でもなんでもなく、恋愛とはそういうことなんだと思う。
映画や小説では立場や個性のズレを乗り越えた恋愛が描かれがちである。
それもまた素敵だが、その現実をありありと描き出しただけで、すごい秀作だと思う。

描写としては、昭和らしい生々しさが印象的。
女性の胸部は何の配慮もなく露出させられ、セリフなどの表現も何の配慮もなく直接的にされていた。
正しい姿なのかもしれないが、ただただ昭和らしさを感じた。
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