みかん

非常宣言のみかんのネタバレレビュー・内容・結末

非常宣言(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

映画館で流れてた予告見る限りはパニック映画って感じで、苦手なジャンルだからはじめは見るつもりなかったんですが、韓国映画や韓国ドラマが好きなお友達に誘われ行ってきました!

いやぁ、良かった~!
中盤くらいまでのストーリーは、予告で見たとおり。
イカれた一人の男によって飛行機の中に未知のウイルスがばらまかれ、逃げ道のない狭い空間でにじり寄る死の恐怖にパニックに陥る乗客達。
わかってはいても、じわじわと恐怖を煽られてドキドキしっぱなしでした!

本作はウイルスによる恐怖だけじゃなく、そのウイルスにより機長が倒れ操縦不能になってからの、垂直墜落しそうになるまでの機内の混乱した様子かなり怖かった。。。
怯えて泣いたり震えたり、不安と恐怖で過呼吸になる乗客、身を投げ出される乗務員。見てるこちらの不安を煽りまくる。
私自身、飛行機の逃げ場のなさが怖くて乗るのちょっと苦手なので、このシーンはすごくリアルで迫力もかなりあったから、画面の中の乗客と一緒に息を詰めてしまった。
それぐらい緊張感のあるシーンで凄かったです!

恐怖のドン底で露になる、人間の弱さをとことん突きつけてくる。
他人を犠牲にしても生き残りたいっていうのは人間の本能だと思うし、自分も同じような局面で本作のような弱さや醜さは出てしまうかもしれないって思うと、理解できる反面そんな事実を突きつけられてかなり嫌な気持ちになる。
けど、本作は同時に人間は他人を思いやれる尊さも持ち合わせていることをちゃんと描いているから、弱い部分もあるけどそれだけじゃないんだって思わせてくれて、最終的には心が軽くなって救われた気持ちになりました。
劇中で主人公の元パイロットを演じるイ・ビョンホンが、人間だからできることをするって宣言し、着陸を諦めるシーン。
辛すぎるけど人間の弱さを打ち負かしたシーンで、すごく胸が締め付けられました。
恐怖や死を目前にしても人間の尊厳を失いたくないって思わされる作品でした。

一方で、乗客全員の総意ってのはありえないと思うし、ちょっと強引な扇情的演出に見えてしまったのが気になっちゃいました。。。
家族や周りの人達に未知のウイルスを感染させたくないからとはいえ、さっきまで恐怖にパニックになっていた乗客が、急に自己犠牲に踏み切るのが違和感というか。
しかも、主人公は娘も一緒に搭乗しているわけだしさ。
娘をどうにか生かしたいって第一に考えそうなのに、そういう葛藤もほとんどなかったので。。。

あと、刑事が自分にウイルスを投与し抗ウイルス薬の効果を実証する流れが、一番納得出来なくてモヤモヤしてしまった。
これも自己犠牲の一つだし、行為を悪く言いたいわけじゃないんだけど、たった一人の結果で、しかもどう作用したのかも分からないのに、抗ウイルス薬は効果ある!じゃあ引き返せ!ってなる安直すぎる判断が謎すぎた。
それなら、まずは着陸させてから隔離して実証するほうが確実だし、人道的だと思うんだけど。。。
しかも刑事さんは結局後遺症残っててかなり見ていて苦しかったので、着陸を受け入れるくらいはするとか、もうちょい何とかならなかったのかなって思わずにはいられんかった。

他にも、致死率の高い未知のウイルスを実験的に研究している製薬会社って何なん?、とか。
抗ウイルス薬やワクチンもちゃっかり用意してたけど、無許可で一企業がそんなことしてたってこと??
ワクチン提供を協力うんぬん言ってたけど、そもそもが犯罪では。
もとのウイルスも中東から得たとかなんとか言ってたけど、んなことあり得るんかな?って思ったり。よくわからん。
映画的な演出やフィクション部分に突っ込むのは野暮かなと思うけど、気になってしまったな。
というか、何気に犯人に同情してウイルス横流しした奴も重罪すぎるよなぁ。


韓国の俳優さん全然詳しくないですが、主演のイ・ビョンホンやソン・ガンホも良かったし、個人的には副操縦士を演じるキム・ナムギルがすごく好きでした!
イム・シワンのイカれっぷりも恐怖を最大に煽ってて良かったです。
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