カルダモン

リバー、流れないでよのカルダモンのレビュー・感想・評価

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)
4.1
2分のタイムループが生み出すグルーヴ感が絶妙で、この時点でアイデア勝利だと思いました。舞台が貴船神社入り口にある老舗旅館『ふじや』というのもユニーク。旅館で働く人たちの動線や宿の入り組んだ造りなど、ビジュアル的にも惹きつけられる。2周目のループからどうも様子が変だと気付いて、やがて全体に波及していく感じがお見事。延々に食べ終わらないシメの雑炊、温まらない熱燗、洗っても洗っても落ちないシャンプーの泡、2分が経過すると全員が2分前にいた場所にリセット。記憶は持ち越せるルールなので各々が経験を蓄えて、どの範囲までなら移動が可能か、どこにだれがいるかという情報のバトンを繋ぎ、共有することで打開していく。
普段は交わることが少ないであろう厨房の料理人や中居さん、ワケ有りで宿泊に来ている客たちが入り乱れる連携プレーも面白い。

劇団ヨーロッパ企画の映像作品を観るのは『ドロステ』に続いて二本目ですが凄いですね。時間感覚の捉え方はさすが演劇集団という感じで。芝居は暗転以外のカットがない本番一発勝負。セリフひとつひとつの流れや長さがすごく練られていて楽しかった。