カルダモン

ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版のカルダモンのレビュー・感想・評価

4.3
世界が均一化されたことにより得たもの、失ったもの。秩序と無秩序はどちらが人間的か、などと考えながら24年振りに劇場再鑑賞。

夜が深くなるほどに充満していく濃密な負の気配。街の広場にやってきたクジラを乗せたトレーラーと煽動者プリンスの来訪によって街の均衡が崩れ出す。モノクロームのコントラストが美しくも不穏で魅力的。
暴動を目の当たりにしたヤノーシュが虚ろな顔で漏らす鼻歌は、もはや不均一な音階の連なりで歌かどうかさえわからない。
暴動の一夜が明け、広場に放置された巨大なクジラが事の虚しさを一層際立てる。

特別好きというわけではないのに何故か心に引っかかる映画。