chunkymonkey

EO イーオーのchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

EO イーオー(2022年製作の映画)
4.0
今年の新作見納めは動物愛護をテーマにしたこちらのロバ映画で。ほっこり可愛いロバさんのロード・ムービーというテイストではないのでお気をつけ遊ばせ。様々な人間の事情に翻弄され彷徨うEOという名のロバが、彼自身の視点で映し出されます。いやぁ、なかなか心にグサっと刺さり考えさせられました。オスカー国際長編のポーランド推薦作品で非常に評価が高く、同賞へのノミネートが期待されています。

EOは、とあるサーカス団で活躍するロバ。ある日、サーカスが動物虐待だと激しく抗議をするデモ隊と出会った後、EOは無事(?)解放され、オープンしたばかりの動物保護施設へ移されるのですが...

もちろん、道中で経験する様々なエピソードにEOが実際のところ何を感じているのかはわからないものの、画面いっぱいに映される大きな瞳と彼の目線に合わせたカメラワークにより、観客は彼の視点を疑似体験できるようになっています。こんなにロバというか動物に共感してしまう映画ははじめて!

そうはいってもしゃべるわけではないEO。彼の心の叫びをPOVに近い形で説得力を持たせるため、かなり刺激の強い映像と音楽の演出が加えられており、個人的にはそうした演出が過剰というかうるさかったのが少し残念かなと思います。

EOは6匹のロバによって演じられているそうで、映画のクレジット前には「本作で動物を傷つけることはしていません」的な注意書きが流れるものの、本作の撮影自体がロバたちに大きなストレスになっているという批判は避けられないようにも思います。特に動物愛護にこだわりがある方は要注意かも...

ロバに限らずいくつかショッキングなシーンがあるので、それも注意が必要。米国ではなぜかレーティングついていないのですが、動物愛護について教えるためにうちの子にも見せようとかはNG、小学生以下の子供には絶対おすすめしません。
予告編:https://youtu.be/rrBeSQbdXmw

そんなこんなで今年最後に本作を観たことで今年最寄りの映画館で鑑賞したかった新作は全て観終えたので、来年のオスカー選出の資格がある作品の中からTOP10を羅列しちゃいます。

1位 Aftersun
2位 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
3位 イニシェリン島の精霊
4位 バビロン
5位 Bros
6位 GDTのピノッキオ
7位 エルヴィス
8位 チャチャ・リアル・スムース
9位 マッシブ・タレント
10位 Marcel the Shell with Shoes On

A24作品を3つ(1, 2, 10位)も入れちゃいました。全体の傾向としては、大量公開された大物監督によるドラマ作品の明暗がきっぱり分かれたのと、ディズニー以外のアニメ作品のレベルが高く、逆に非英語作品が昨年よりは小粒だったように思います。また、オリジナル作品の脚本が非常に充実していた一方で、原作の映画化やリメイク系がイマイチなのも今年の特徴でした。来年早々にも期待したい作品がちょいちょい控えているので、楽しみです!
chunkymonkey

chunkymonkey