回想シーンでご飯3杯いける

別れる決心の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

別れる決心(2022年製作の映画)
3.8
パク・チャヌク監督作は「お嬢さん」をはじめまだ3作品しか観ていないけど、所謂典型的な韓国映画とは異なる作風。カンヌ映画祭で監督賞を受賞したのも頷ける、どこかヨーロッパの映画に近い雰囲気を持っている。

男が山頂から転落死した事件を追う刑事と、その被害者の妻が、捜査が進む中で惹かれ合っていく。まあ、W不倫モノと言ってしまえばそうなのだが、わざとはぐらかすような会話と、抽象的な映像表現。そして、男女が持つ欲の描き方が独特で、結末を追う事とは違う部分に魅力がある。

被害者の妻を演じるのは中国出身のタン・ウェイで、設定上でも同様に中国から嫁いできた女性という事になっている。韓国語が堪能ではないという部分も含め、正に魔性の女を感じさせるのだが、エロ表現はあくまで間接的で、エグイ感じになっていないのがミソ。「ビューティー・インサイド」なんかもそうだったけど、こういう変わり種が出てくる辺りが、韓国映画界の懐の深さだと思う。