シネマスナイパーF

ゴールデンカムイのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
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実写化には大成功していると思いますが
映画化成功かとなると残念かな…
原作は触れずに観てきました

まず、これはIMAXで観て本当に良かった
GT以外のIMAXスクリーンでは全編通してスペースをほぼ余すことのないフルスクリーンで観ることができる
凄惨な戦争描写や大自然など映える場面が目白押しで素晴らしかった
画的にショボいところは全くなく、アクションもステキで気合が入っており、動物のCGもよく出来ていて違和感は最小限に抑えられていた
そういった点で言えば、漫画の実写化も素晴らしい領域まで達したんだなと感動する


しかしですよ
台詞に頼りすぎている気がする
全編通して説明過多
画面に映るものや話の展開で分かるようなことでも台詞を被せてわざわざ説明してしまっている所も残念ながら多い
本当に勘弁してほしい
いつ治るんだこれは
漫画の実写化はどうでもいい台詞まで完全再現しなきゃいけないのか?
台詞にすることで、その人物がその時に持つ感情の深みがかえって損なわれ、結果陳腐な演出となってしまうことだって沢山あるし
「あいつ腸を盗んで行きやがった」って、多分気付いてなかったのお前だけであんだけ堂々と握りしめている杉本見たら観客は全員そんなこと百も承知だよ!
脳汁中尉がバカなのか観客をバカにしているのか、どっち?


続編ありきすぎて、この映画内では少なくとも果たしたいなっていう目的は全然見えず、そのまんま終わってしまう…それ超絶つまんないんですけど…
何がクライマックスになるのか、という惹きが一本の映画として無さすぎた
はっきりダメでしょこれは

一応、役目を持って生まれたのでそれを果たしましょうね!生き残った以上全うしようね頑張ろうね!みたいなことをふんわりと言っているような気はしますけど、テーマとしてそれを掲げてそれを推進力に話を進めるのなら最後の最後に杉本の過去を明かすやり方だと遅すぎる
仮に原作がそのタイミングだから、という理屈だとしても、一本の映画としては失敗なタイミング
アシㇼパに伝える場面としては終盤に残しつつも、回想の内容の少なくとも半分は序盤に明かしておけば、杉本がただならぬ思いや事情があって今ここにいるということは観客も理解したうえで観賞に臨めるからまだ芯の通った映画として捉えられたと思うし、アイヌ文化を懇切丁寧に教えてくれる作品で、死生観について深く考えさせる内容だからこそ大事にすべきだったところだったと思う


長々と書きましたが、要はながら観やミステリーの持続をさせやすい連続ドラマの方がいいんじゃないかと思いました、が
やっぱりIMAXスクリーンでの観賞は素晴らしい体験だったので、映画向きといえば映画向きだとも思います
上手いことやれてたらなぁ
惜しい作品でした
あ、熊による殺戮を穴から覗く場面は映画的でした!