シネマスナイパーF

THE BATMAN-ザ・バットマンーのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

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活力に満ちているものの、そこに見えるのは信念や大義ではないうえに、利他的な精神もあまり感じられない
非常に個人的な行動で、自己満足に終始しかけている
登場して早々ただのチンピラ共を相手に容赦ない暴力を見せI'm vengeanceと言い放つ今回の彼は、バットマンを始めてみたはいいものの向かう先が見えていない、復讐という動機だけで活動している非常に危なっかしい男
そうなんです、彼はまだ若いんです…


後手
リドラーはバットマンに何かを残していくが、読み解いた時には既にもう事は起きてしまっている
そしてその読み解きも、観ている我々が考え始める前にバットマンが即答で解決してしまうことが多い
観客が一番後ろにいるため、ドタバタを見守る形になりながらも推進力はなかなか落ちない

が、割と要らない要素があるため、たまに鈍重になるんだよな…
ペンギン要るか?
100%要らないキャラではないんだけどペンギンの名を使う必要はないし、結果的にミスリード要員だったために、クッソ盛り上がるカーチェイスも見せ場のための見せ場という印象に成り下がってしまっている…
リドラーが刑務所である人物と出会うあの目配せ的なぶっこみも要らないよ
せっかくいい雰囲気の映画なんだから、完全に閉じた物語としてやり通して良かったと思うよ…
映画の雰囲気がマジすぎるためにバットマンの格好が明らかに浮いているんだけど、若さゆえのイタい方向性として捉えればより一層狂気を感じられるし、実際劇中でもなんか変な奴来たな的なリアクションをとられているので、これは有りなバランス


中心にいるバットマン、セリーナ、リドラーからはとにかく勢いが感じられ、それぞれその方向性が違って、良い
バットマンには先述したような行き先の見えない危うさがある一方、セリーナには明確な目的があり、それは利他的な精神に基づいているため、主人公であるバットマンの最終的な成長と繋がっている
そしてリドラーからは、大義を感じる
主人公は復讐とかほざきながらもがいてるだけなのに、悪役には確固たる大義があるという対立構造、いいよね…
ダメな若さを発揮している分終わりに向かうに連れヒーロー然とした活躍が増え、結果ヒーロー誕生譚として終わるという着地は素直に気持ちいいし、リドラーの標的が要人からバットマンの身内、そして市井の人々へと移っていくことが自覚の目覚めに繋がる展開も良い!

つらつらと書いてきましたが、僕がこの映画に対して持っている一番の好印象は
正義とは何かだの自分の行動は正しいのかだの聞き飽きた真面目な悩みには陥らず、やさぐれて若さ丸出しの男が、様々な人間や本物の信念を目の当たりにすることで、自分の立場と役割を理解する…そんな物語を見せてもらえたことです
救いの手、光を差し伸べることで復讐を断ち切らなければならないけど、どうしようもない奴には慈悲とか無くていいよね…この着地にシビレた
終わってみれば歴としたヒーロー映画だけど、やっぱり危うい心情は拭い去れないというこのバランスは、バットマンじゃなきゃできないんだろうな…


バットモービル起動シーンにマジでアガること間違いなしなので、音響のいいスクリーンでの観賞をお勧めします!
ジェフリー・ライトによるゴードンの空回りしそうなイイヤツ感、アンディ・サーキスによるアルフレッドの真面目カワイイおっちゃん感、これらがちゃんとストライク決めてきてるのでオールオッケー!!!
デーンデデンデンのゴリ押しには笑うよね
タイトルがやたらデカく出る映画は当たりの法則