シネマスナイパーF

トップガン マーヴェリックのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

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トップガン:マーヴェリックは全てを撃墜する
数十年ぶりの続編であることへの不安や、この時代に戦闘機映画を作ることへの不安も
我々が驚くような映像はもうないだろうという観客の心理も
誰もが心を撃ち抜かれ、スクリーンの座席から降りる時には燃えるような熱い思いを滾らせずにはいられない
そして映画を観る幸せを改めて噛み締めずにはいられない

予習無しでも楽しめる
これは間違っていないし、そこがまたこの映画の素晴らしいところでもある
でも自分に言わせてもらえば、前作を観ずに今作を観ることは伝説誕生を観ずに王の凱旋を観るようなものだし、ストーリーは勿論のこと、映画が持つ精神や映画に流れている血までも前作からとんでもない濃度で引き継がれている

人物やキャラクター彼ら自身を丁寧に描くことでドラマが成り立つということを深く理解しているなと感じると泣いてしまうのですが、今作はその点本当に素晴らしい
マーヴェリックやルースター、ハングマンらのメインキャラだけでなく、アイス…お前…泣かせるね
前作時のトム・クルーズとヴァル・キルマーの関係、そしてキルマー本人の現状を知るとより味わい深い

分かりやすい
なんて分かりやすいんだ
くどいほど繰り返される作戦説明と、訓練という実演
目的と手に汗握るポイントが分かったうえで本番を迎えることでもたらされる緊張感と期待感、そして登場人物と観客との一体感
だからこそ活きてくるプラスアルファの最後の大見せ場
分かりやすいってなんて面白いんだろうと唸る

僕はこの作品、ランボー最後の戦場と同じ系譜だと思っております
映画史においてアイコンと化した作品とその主役を張る登場人物に向き合う作品
旧作が持っていたはずの魅力、孕んでいたはずの本質を改めて考え、主人公の辿った人生を改めて考えた魂の続編を主演俳優自身が製作することでとんでもない傑作が出来上がる
スタローンがランボーという作品とキャラクターを救済したように、トム・クルーズはトップガンという作品を映画史における重要な作品へと底上げし、マーヴェリックというキャラクターの人生を救済した
自分は一作目との連続上映で観賞しましたが、ついさっき初めてまともに見た登場人物の人生の空白と決着にここまで思い入れて泣くなんて思っていなかった

映画は面白い
映画は最高
映画館で映画を観ることは代え難い幸せ
改めて思わされた
ありがとうトム・クルーズ
ありがとうマーヴェリック