Cisaraghi

帰れない山のCisaraghiのネタバレレビュー・内容・結末

帰れない山(2022年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

2時間半弱という長尺の静かな映画なのに、時間の長さを感じることなく眠くなることもなく観終えた。

♪娘さん、よく聞~けよ、山男にゃ惚~れ~るなよ~、山に憑かれりゃよ~お(※)、若後家さんだよお~♪というあの歌そのものの、いわゆる登山こそしないけれど、山に憑かれた山男の話だった。アルプスの少女ハイジのおじいさんとか、ピーターとかと同類の山の民で、あちらはアルプスの向こう側スイス、こちらは手前のイタリアという違いかと。北部山の民のイタリア人は、陽気で明るく話し好きで賑やかというイタリア人一般の既成イメージとは違うようだ。

何と言っても映画館でじっくり見る雄大な山々が絶景。TVの登山番組とはさすがにスケールが違って、こちらに覆い被さるように迫ってくる。しかも、アルプスだけでなくヒマラヤまで登場。インドのルカマリ馴染み過ぎ、と思ったらネパールだった。

ストーリーは、父と息子の絆、男同士の友情というイタリア映画らしい題材。ハッピーエンドにして欲しかったとグズグズしていたが、上記の歌を思い出し、山男なので仕方がないと諦めがついた。文芸作品らしい感触から、薄々わかってはいたけれど…。

先日観たフランス映画では、主人公に大金が転がり込んで救われていたのに対し、こちらは対照的にお金で窮地に立たされて救われない話。人間の人生を左右する最も大きなもの、それはやはりお金だよね…と思うしかなかった。

※正しくは「山に憑かれりゃ」ではなく「山で吹かれりゃ」デシタ。
Cisaraghi

Cisaraghi