chunkymonkey

ミセス・ハリス、パリへ行くのchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

3.5
中高年の皆さんのための「シンデレラ」。幸せな夢を見させてくれる映画っていいなと素直に思える作品でした。ディオールのオートクチュール・ドレスに憧れる家政婦のおばさんが、コツコツお金を貯めてパリでディオール工房でドレスを仕立ててもらおうと奮闘するストーリー。

シンデレラの童話の如くとてもシンプルな展開ですが、だからこそドレスに胸をときめかせる主人公の姿がじっくり描かれ、思わず身を乗り出して応援したくなる仕上がりになっていますね。

話や設定、目の保養的に入れ込まれるイケメン男子のサブストーリーなど盛大に中高年の女性向けに作られている一方で、実は主人公の価値観はがっつり今時の若者そのものだと思いません?

将来に夢があったイケイケの時代を知っている50代以上の"中高年の皆様"の発想だと、主人公は「絶対いつか家政婦なんか辞めてディオールで散財する成功者になってクズなマダムを見返してやるわ!」というサクセスストーリーができあがるはず。

でもそれが失われた30年の育ったそれ以下の世代になると、比較的真面目に与えられた仕事はこなすけれど決して上昇志向は持たず、つつましくも堅実で丁寧な生活を送り、その代わり自分が拘りたいモノ・サービスに絞ってしっかりお金をかけるというまさに本作のミセス・ハリスの消費行動・メンタリティというわけ。

夢のある貯金っていいなぁと思いました。目的のないというか貯金そのものが目的となっている人ってそれただの"ケチな人"ですけど、これがしたい・あれが買いたいって節約して貯金する人ホント素敵✨そんなこんなで自分も現在ジョシュ・グローバンの「スウィーニー・トッド」とベン・プラットの「パレード」のチケットのために絶賛節約生活中💰そんなこんなでPart2、動画配信サイトも一部休会中、映画館も観に行く作品をちょっと選んでます😅...

あと皆様書かれているように主演のレスリー・マンヴィルが、PTAの「ファントム・スレッド」で演じた立ち位置の人物にガツンと対峙するのが面白い!映画のテイストはもちろん全く違いますが、こちらも服に特に興味がなくとも十分高揚感が味わえるおしゃれな衣装の数々でとてもよかったです。
chunkymonkey

chunkymonkey