Rick

ミセス・ハリス、パリへ行くのRickのレビュー・感想・評価

4.4
 幾つになったって、どんな社会階層にいたって、着たいものがあるならば着ればいい。そんな現代的な価値観のもとでは、ミセス・ハリスの覚悟や行動力は捉えきれないのかもしれない。1957年に通いの家政婦であるということ、着たい服がその時代のディオールのドレスであること、これらを踏まえなければならない。原作と並べて比べてみると、ミセス・ハリスが戦争未亡人であること、そして1950年代パリの労働者が置かれていた状況がより強調されており、ミセス・ハリスの行いがより現代にも伝わりやすくなっている。ディオールという上流階級用のクローズドな空間にロンドンのコックニー訛りのおばさんが単身乗り込んでドレスを買う。たったそれだけのお話が、いかに大冒険で大偉業であったのか、そこを加味して見てほしい。
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