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瀬戸内寂聴 99年生きて思うことのmaroのレビュー・感想・評価

3.5
2022年日本公開映画で面白かった順位:59/100
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

日本において長寿で有名な女性と言えば、きんさんぎんさんを除けばこの方ぐらいじゃなかろうか。
これまで数多くメディアで取り上げられたので、今さら目新しいことはないけれど、改めて彼女の生き方に学ぶことはあった。
結論、ストレスを溜めないことが大事なのかなと(笑)

すでに知っている方も多いだろうけど、瀬戸内寂聴は道ならぬ恋を行く人だった。
20歳で見合い相手と結婚するも、その人の教え子と不倫。
夫と娘を捨てて駆け落ちするも、結局不倫相手から捨てられてしまうという失敗。
その後、小田仁二郎という作家と付き合うも、これもまた不倫。
さらに、先の駆け落ちに失敗した人とも縁が戻ったりで三角関係に。
この両者と別れた後に付き合った人もまた妻子ある人で、、、という正直どうしようもない人(笑)

そんな人だから、「生きるということは愛するということ」、「恋愛とは落雷のようなもの」という言葉が説得力に溢れている。
「人を成長させるのは学問ではなく恋愛」と豪語するほどであり、この人本当にお坊さんなのかなと思ったほど(笑)
「恋愛なんて雷といっしょだから、もう打たれるしかないですよ」というのは、本能に付き従ったがゆえの思想なんだろうなと。
人の亭主と何かすることを悪いと思わなかったぐらいなので。

とはいえ、これじゃまずいってんで51歳で出家。
これが人生で一番辛かったらしい。
それ以降、あらゆる戒律は破っても、セックスだけはしなかったと。
これは我慢してそうなってるんじゃなくて、仏がそうさせてくれてるんだって。
多分、自分の中で「やり切った」っていう自覚があるから、無意識のうちに「もういいや」と遠ざけてるんじゃないかって気がしたけどね(笑)

こうやって変に我慢しないのがこの方の魅力かなって思った。
それは恋愛に限ったことではない。
とにかくメチャクチャ肉を食べるし、メチャクチャ笑うのよ。
映像に出てきた食事シーン、ほとんど肉。
焼肉やらすき焼きやら揚げ物やら。
肉を食べると頭がよくなるらしい。
そして、いつもニコニコ、話せばゲラゲラ。
基本笑ってばっかりだった。
肉と笑顔、人間にとって一番大事なのかもしれない。

そんな調子だからか、ずっと元気なイメージがあったけど、97歳の頃ぐらいから、いろいろしんどくなってきたみたい。
気力も精神力もあるんだけど、体力がついていかないと。
横になっているのが楽だと。
その感覚、まだ自分にはないけど、あと50年もしたらわかりみが出て来るんだろうなあ。

人生に何を求めるかによるけど、元気に長生きすることを考えたときに大事なことは、「我慢しない」ってことかもしれいないなとこの方を見て思った。
だって、不倫してまで自分の愛を貫いたし、90代になっても肉も酒も食らうし。
変に我慢してストレスを溜めないことって、精神衛生上いいんだよね、きっと。

っていうと、じゃあ不倫しようとか肉食べようとかってなる人もいるだろうけど、こういうのって全部結果論だから。
たまたまこの生き方が彼女に合って、結果長生きしたっていうだけで。
同じことやってもすぐ死ぬときは死ぬし、何もしなくても長く生きる人は生きる。
人生そんなもんなのかなと。

あとは、情熱が大事だともおっしゃってた。
仕事も恋愛も情熱がないところには来ない。
「生きた」って感じで死にたいならば、岐路に立ったときに険しい道を選ぶべきという言葉は身に沁みる。

そんなわけで、やりたいことをやって人より長く生きた瀬戸内寂聴さんの人生の先輩としての言葉は、いろいろ響くことがあるかもしれない。
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