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エゴイストのfunのネタバレレビュー・内容・結末

エゴイスト(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

前半の爽やかさと濃密さのある展開から、
中盤突然の別れ、、、え?と思って、
一旦見るのを躊躇してやめていましたが、
日本アカデミー賞をたまたま見ていて思い出したように続きから鑑賞スタート。
鈴木さんが日アカで、かなりカメラが近くて顔の真横にあったりして、最初はすごく慣れなくて、、、と言っていたように、リアルを超えるくらい接近したカメラワークとパンの連続に酔いそうだったというレビューにも頷けますが、その分リアルドキュメンタリーっぽさが感じられる時がちらほらと。
キツイ仕事を掛け持っているにしては美しく清らかささえ感じる宮沢くんの雰囲気とどんな役でも全力で役に向き合い作っていく鈴木さんの取り合わせでリアルなシーンも違和感なく見れました。
指先、首を傾げる角度、歩き方のつま先まで女性以上に女性らしい仕草。
むしろ女性はこんなに所作に気を配ってないような気がするけど女性はこういう風という感じである意味自分の中の女性像を演じるような感じなのかな。自分の雑さを反省するばかり。

いろいろ考えさせられるシーンがあった。
自分が母であったのなら、息子がゲイであることの告白よりも、この世界地獄だけじゃなかったんだ、って言葉の方がずしんとあと引きました。
そんなに生きていることが辛かったのか、辛い思いをさせているのか、、、と。

そして終盤の母の病。
膵臓癌。数年前に友達を若くして同じ病で亡くしている経験からとても辛くなった。
ほんとうに膵臓癌はどんな癌よりあっという間に連れて行ってしまう。
全然元気だったのに、判明から半年しか生きれなかった。
コロナ禍であったけれど、在宅治療中は除菌に気をつけて、味覚が鈍くなって甘いものならやや感じると言われて、食べれそうなものを探して差し入れしたり、見たいという映画やドラマの差し入れをしたり、と家族ではないから毎日そばでいることはできないかったけど毎週通った。
連絡が急に取れなくなって、ご家族からの訃報の連絡が、、、。
ご家族もコロナ禍のため緊急入院してからは満足に会えなかったそうで。
家族葬が多いコロナ禍で声をかけていただき最後のお別れの場では劇中の鈴木さんのように泣き崩れ、ご家族から感謝の言葉をいただいたけれど自分の無力さをただただ痛感しました。
この映画の中の定義であれば、その想いさえもエゴイストなのかもしれないと。

劇中、時折映る植木鉢の花の状態でいろいろなことが想像できたり、梨を高い方を選んだり、ちょっとしたところで時間と空気感と大切な人への気持ちなどなど多くのことが感じられた。
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