ひみつのなっちゃん。の赤のネタバレレビュー・内容・結末

主演の滝藤賢一をはじめ、役者陣のアンサンブルが楽しいロードムービー。

自分が一番近いのに一番見えていない、誰にもひみつがあり他者の見えている部分も一面的に過ぎない。必ずしも”普通”であり続ける必要はないのかもしれないが、それでも”普通”であろうとすること自体を否定はしていない部分でこの作品の多面性と他者性を感じる。

随所のドラァグクイーンならではのユーモアを散りばめつつ展開するものの、間延びした編集やコメディ／シリアスのどちらにも振り切らない演出によりロードムービーとしての推進力が弱い印象。
”SUNNY”型のカタルシスを期待していたため、ラストに満を持してのダンスシーンが無かったのが最も惜しい点。ドラァグクイーンの魅力ももっと打ち出すことはできたのではないのか。

意図的か偶発的かはさておき主人公達のキャラクターの深堀りがされない見せ方と、
ギャグ全開にしすぎずお涙頂戴の感動演出も押し付けない全体的に抑制の効いた描き方によって鑑賞後に独特な余韻を齎す。