肉浪費Xアカウント復旧無理ぽ

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けの肉浪費Xアカウント復旧無理ぽのレビュー・感想・評価

3.7
私は当事者として傷付いていないけども、同性として、報道の義務として、社会の変革としてその名を挙げよ、女子ぃ!for #MeToo
若人から中年になる現在まで道が閉ざされ、黙殺され黙殺してきた自らの「恥辱」をヤツに喰らわせることができた唯一の"機会(お仕事)"

皆、オウム返しのように『スポットライト 世紀のスクープ』を引き合いに出してますが、そちらは「スキャンダル・スクープ」に迫る"報道業"や"お仕事映画"として引き合いに出して当然の対象となりますが、当映画のジェンダーの一方が被害にあって、表沙汰にされずに黙"殺"されてきた「#MeToo」の余波を論じるならば、その潮流の起源といっていい『スキャンダル』内の出来事が本編内で扱われますし、『プロミシング・ヤング・ウーマン』が産み出されたのも#MeTooの潮流と言って間違いないのに、一体どうしたことでしょう?w
だからこそ主演の片方のキャリー・マリガンさんが本作で性被害の真実を明らかにする、"復讐を代行"するかのような光明の片棒を担ぐ事はむしろ「Fate(運命)」のような"重み"と込み上げる"熱さ"を感じさせるのでまさに好キャストとしか言いようがありません!
W主演のゾーイ・カザン&キャリー・マリガンお二人共演というか『ワイルドライフ』
W主演の片方がニコール・キッドマン、シャーリーズ・セロン、マーゴット・ロビーの誰かだったらさらなる熱さでうち震えたかもしれせんねw
苦言かに見えますが、見てみればわかる通り演技に定評のあるゾーイ・カザンさんで一片も文句のないくらいオーラがない一般人(記者)として、現実味のある"家庭人"として、私たちの生活の地続きにある出来事なんだと"共感"と"リアリティ"を引き出してくれます。

そう、リアリティとしてストイックな「お仕事映画」の面と記者も被害者も血が通った"人間"で、私生活、"人生"がある「ヒューマンドラマ」の面の"バランス"が秀逸でしたね。
どちらの方向にも偏重することがないから、嘘くささや過剰表現の"フィクション臭さ"に転ぶことなく、ひたむきにインタビュー&取材で関係者に総当りする「ミステリー・サスペンス」な"じわじわなスリル"も抽出していく手腕は見事。
おかげで129分という2時間超えで、地味になりがちな"ノンフィクション"モノでも退屈することなく"趨勢を見守る"気にもさせてくれます。

オープニングの若手の女性(ハーヴェイ・ワインスタイン下映画業の支社の新人)の"希望"がいかに踏みにじられたか?その後の「人生」にどれだけの負荷を与え、生きるという活動を苛んできたか?を経年の女優を変え、映像としての虚実を混ぜた少しの「フィクション・ヒューマンドラマ」のバランスも、"被害女性の連帯"という意味ではストーリーの流れを乱す事なく、"共感"の段階を引き上げてくれる良演出となったのでしょう。

ただね、フィクション&ノーフィクションなのか関わらず、当事者について調べれば事実かどうかさえすぐわかるのでしょうが"やり過ぎ"な演出がありましたね…
上記で言ったように、記者も被害者も血の通った人間で、事件後も"その後の生活"があるのは間違いないのですが、その性被害が及ぼした身体的ストレスや心身的負傷が"原因ではない「病気」"は"いらない添加物"だったかなぁーと思わずにはいられないんですよ…
それが事実無根なら尚更ですが、"感情移入の軸がブレ"て明後日な方向のヒューマンドラマに化してしまう危険性があったので、重要な"オンレコ(記名あり)証言"の1人だとしても、各自の事件とは無関係な"私事情"を挟むことなく"ストレートな感情移入"に移行させて欲しかったですね…

レビューの書き出しはNetflix『私は世界一幸運よ』を模しましたが、原作は#MeToo事変より前の事ですが、"ジェンダー性被害"かつ"女性特有の障害"をこう言ってはなんですが"エンタメへと昇華"させた事については、しっかり#MeToo(強権性被害)に与する映画だと思うので、上記挙げた映画全てを観てそ"の余波が現在になっても途絶えない意味"に向き合ってみるのもありかと思います。