へたれ

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのへたれのレビュー・感想・評価

2.9
良かったとこ 記者たちのアンサンブル
まず、ゾーイ・カザンの聞き手としての演技が上手かった。娘からレイプについて質問された時の受け方や、ユダヤ系であることの共感から協力を引き出そうとするシーンなど、名場面が多い。
キャリー・マリガンは、産後鬱という設定がうまく生かされていなかったけれど、ゾーイ・カザンとの相性は良かった。
「スポットライト」を明らかに意識したような記者チームたちのチームワークは、わざとらしい気もするけれど、良いアンサンブルになっていた。

ダメだったとこ ドラマにした効果が乏しい
記者たちの取材と言いつつ、大半はiPhoneで電話をしているだけなので、ドラマとして盛り上げることが難しいし、案の定映画のテンポがとても悪い。
躊躇していた被害者たちが徐々に名前を公表するようになる展開が盛り上げポイントではあるけれど、決意した理由がドラマとして説明されていないから、むしろ場当たり的な取材を繰り返しているようにさえ見える。
MeTooを世界に広めた重要な事件ではあるけれど、まだ記憶にも新しいこのタイミングでなぜドラマ化したのか、その意義は最後まで分からなかった。この事件を知っている人には、この映画から得るものは乏しいし、この事件を知らない人は、この座組では観に来ようと思わない。むしろドキュメンタリーにした方が、訴求力がもっと高かったかも知れない。
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