LalaーMukuーMerry

奇人たちの晩餐会のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

奇人たちの晩餐会(1998年製作の映画)
4.4
休日の朝になると近所の公園で、一輪車でバランスをとりながらジャグリングの練習を黙々としている青年がいる。昼休みにヘルメット、肘、膝の完全防護をしてインラインスケートで会社の敷地内の道路をスケートリンクのように颯爽とすっ飛ばしているおっさんがいる。ちょっと注意して周囲をみると、いるものですね、奇人たち。
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かくいう私も、生垣の落ち葉や剪定くずの葉っぱを捨てずに裏庭の隅に容れ物を作ってそこに入れ、何か月もかけて堆肥つくりをしている。庭の土づくりに効果があると信じているから。堆肥作りが面白くなって、ミミズを飼って残飯の処理をさせていた時もあった。ミミズの糞は匂いもなく、とても良い堆肥になるのだ。地球上の肥沃な土壌はミミズの糞でできているって知ってる?これは進化論で有名なダーウィンの晩年の研究成果のひとつなんだよ…、これってやっぱり奇人の仲間入り?
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私の名はピエール、出版社の経営者だ。街の奇人たち(つまりバカ)を見つけては、晩餐会に招待して話を聞き、本人には気づかれないように笑いものにするという金持ちたちの悪趣味行事に参加するのが最高の楽しみだ。美人の妻はそれが気に入らないようだけど。
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マッチ棒だけで立派な模型をつくる趣味に没頭するかなりの奇人(つまりバカ)ピエールを家に招いて、晩餐会に行く準備をしていた時、間が悪いことに、妻から入った別れの留守電を聞かれてしまった。ピエールは気を利かして立ち回ってくれたが、彼のせいでどうも事態がこじれてくる。奴は別れたはずの元愛人のマルレーヌに間違えて電話をしてしまった。なんということ! 私生活の恥部が次々と出で来てしまう・・・
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面白い! 脚本が実に良くできている。ふんだんに出てくる電話を使ったギャグが私のツボにみごとにはまった、大人のコメディ。 
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人は見かけによらぬもの、とは言え普通は見た目通り。その見た目で人を判断してぞんざいに扱っていると、見かけによらぬ一面がある時突然現れて痛い目に会いますよ、気をつけなはれ、という大切な人生訓を楽しくわからせてくれるgoodな作品。(いや、そのことを「人は見かけによらぬもの」というんだよ!)
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おバカな雰囲気を強調した日本語吹替え版よりも、字幕スーパー版の方が私の好みでした