このレビューはネタバレを含みます
原作読了済。ただし、原作の最終刊まで読んでから手放した。
それが映画化する、その主人公が有村架純と知ってどうなるだろうと思っていた。主人公のビジュアルイメージが、有村架純と全然違うからだ。また、元風俗嬢というキャラも、有村架純の演じてきた役歴のイメージと異なる。
その憶測は無意味なものだった。ちひろさんの立ち振る舞いとはおそらくこうなるだろう、というものを見事に体現していた。また、ちひろさんが在籍していた当時の風俗店店長とか弁当屋の常連とか、漫画のビジュアルと明らかに異なるキャラは複数いたが、彼らも違和感なかった。役者陣の好演・演出の妙だろう。
一方で、展開は良くも悪くも原作通りで漫画の映画化、というラインはあまり超えていなかった印象だ。
原作は、妙に達観しているちひろさんのふるまいが面白くて読んでいたが、次第に店長を父、弁当屋のおかみさんを母と呼び出すなどの展開を、読んでいて変な感じを覚え、最終巻まで読み切ってから「もう読み返さないかな」と思って手放した。ちひろさんの自己快復みたいな話になるのは、物語上当然といえば当然だが、あのちひろさんがそんな類型的なことになるかな、というのが当時の感想だった。
映画になると、実写ということやエピソードが限られるなどあり、ちひろさんが原作ほど超然とした存在では観じられなかったため、漫画のような違和感はなかった。ただ、映画オリジナルの内容というのも、後半のみんなで集まった食事会とラストに描かれたちひろさんの行き先ぐらいだと思うし、演出面でも良くも悪くも原作通りだったと思われた。
いい作品ではあったが、原作を知っているとその通りだったなぁというのが正直な感想である。
