これは同じ星人（波長の人）が集う（見る）映画
女版『寅さん』は爽快でも痛快でもおしつけがましくもなく、孤独な現代に"丁度いい"
自称サバサバ系女子と（精神的）猫科女子の圧倒的・差
ハイ、原作コミック未読でファンでもないですけどちょろっとWEB紹介だったかで一話を読んだ感じ、あまり好きそうではなかったんですよね。
『ワカコ酒』でも感じたように、「ワタシ、イイ女でしょ？」感の鼻につく印象を持ってしまったんですけど、この映画は全然そんな事はありませんでしたね。
「元・風俗嬢」だからといって、人間の汚さやもう片方の性である"男の本性"など見てきた、パンピーじゃできない経験をしても賢者では決してないですからねw どこか、"上からチヒロ"みたいな話なんじゃ…と警戒してましたが、"彼女を中心に回る「群像劇」"だったんですね。
その誤解とは別に、なんといってもこの映画の誤算よチヒロは、"有村架純さんだからこそ"に依るのがとても大きい気がしますね。
彼女のどこか常人離れした湿り、"陰"を含みながらも"こざっぱりした快活とは違う人柄"が陰陽を相殺するような"絶妙ユルさ"を産み出しているんじゃないでしょうか？そこに人が吸い寄せられると
あ、股じゃないですよ？😉
陰にも陽にも別段振らない、いい感じに脱力したラフさが"人との「距離」に迷う現代人"に丁度いいと思いますよ？
だから"女版「寅さん」"と評したのは、『男はつらいよ』の主人公、通称寅さんになにも人柄似ていて、破天荒に己が道を行く人情モノと言いたいわけでないのです。考えれば考えるほど共通していく気がないわけではありませんがw
スッと癒やされ、力の抜き方を教えられ、気付かされ、"温かい気持ちになる"。
そんな"チル人情"がやっぱり現代人に「丁度いい寅さん像」として浮かび上がらせるのやも…？（笑）
かと言って、そのちひろさんもきっちり生き方、自分像（アイデンティティ）に迷い、心身の不調をきたしてる姿もきっちり描かれているのが、より一層"生の人間"として感情移入を誘われるんじゃないでしょうか？
でも、ちひろさんの性格として"自称サバサバ女子"や"ぼっち女子"が「自分と似てる！」と同情したり間違った感情移入したりするのは、少し違うのかなとも思います。
定期的に「孤独」を愛せずにはいられない、「孤独」がないと自分を癒せない、人と上手く付き合えない。そういう人が一定数いて、そこにも"現代人の丁度良さ"を象徴するピースの1つとして数えられるのかと思います。
JKオカジ（豊嶋花）とクソガキ（マコト）の凸凹コンビが微笑ましくてしょうがない気にさせてくれましたね！
実は個人的にはちひろさんどうこうより、この癒されやり取りが複数あるから、愛着を持って評価できるなと思っていたんですけどw
「ちひろさん」オリジンを演じた市川実和子さんの雰囲気も最高で、彼女を主人公したスピンオフ『ちひろ"0"』や『ちひろさん ファースト・キル』が見てみたい！って気にさせる"擦れた独特女子"感があって好きですw
というか、群像劇といっても、とりとめのないエピソードがぶつ切りのように描かれ、それが伏線として怒涛のように解決されるとかの話じゃないので、「ドラマ」形態が一番丁度良さそうなまとまりのなさでしたね…
どうせドラマ化もされるのでしょうがw
原作知らないだけに、ちょっとした"疑惑"を投下いたしますと、ちひろさん、"逃亡生活の身"じゃないでしょうか？
ちひろさんが過去に刺されたエピソード、突然の理由なき脱・風俗、生物やその人を想って分け隔てなくとか勝手にそれっぽい理由はつけられるけどの死体遺棄の犯罪。のこなれ感。
これらを考えると、まだ語られてないちひろさんの過去もあるし、語らない事によりちひろさん自身の"神秘性"や観る側の"シンパシー（感情移入）の幅"などが狙いかも知れませんが、その『真実』があると映画のジャンルやちひろさんイメージが一変する面白い要素になりそうですねw（あくまで無知の妄想ですからぁ❣）
"謎多き女"ちひろさん、人を殺しても殺さずとも奔放に生き、奔放に人をほぐす「孤独」の星の人。
