柏エシディシ

オスカー・ピーターソン/オスカー・ピーターソン:ジャズ界の革命児の柏エシディシのレビュー・感想・評価

3.0
"鍵盤の皇帝"オスカー・ピーターソンの伝記ドキュメンタリー。
同時期のジャズレジェンドの中でも、比較的、幸福で長い安定したキャリアを積んだオスカー・ピーターソンの歩みは、ある意味波瀾万丈なドラマティックなドキュメンタリーにはならない。
しかし、スウィング感に溢れたピアノ演奏に合わせて映像フッテージやナレーションが小気味良く綴られる編集と演出が心地好く、オスカーの人生そのものがSwingであったことを物語る。
陰鬱な物語に陥りがちなこの手のアーティストドキュメンタリーとは違う、率直なミュージシャンやジャズという音楽の愛が伝わる作品だ。

"オスピー"に関しては、自分がジャズを聴き始めた時、ジャズ愛好家の諸先輩方には少し軽んじられていた印象がある。
その解り易さ親しみ易さが腐しやすい所もあり、モンクやパウエルをどうしても有り難がる風情があった様に思うし、自分も悪い影響を受けていたかも。
しかし時が経ち、やっぱり「お勉強」ではなく、素直にジャズの気持ち良さに触れたいと思う時は、オスピーを引っ張り出して聴く事は多くなった様に思う。
結局は、そういう事。
ビートルズもそうだが、やはり広く長く愛されるアーティストの音楽は普遍の強さがある。
その秘密の一端というか、晩年まで演奏することにこだわり続けた、いちピアノ弾きの矜持とジャズ愛に清々しい気持ちになった。
さ、Soul Espanolでも聴こうっと。
柏エシディシ

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