このレビューはネタバレを含みます
R18+
なるほど、面白い。
でも、よく作ろうと思ったな。
アイデア自体は画期的というほどもなく、
ヴィーガンは草食だから美味いだろ、という凡庸なもの。
これを制作して、発表したことがすごい。
たくさんの大人が関わっているわけで。
vsヴィーガン、という対立構造なわけだが。
いくらムカつくからって殺っちゃダメでしょ。
ってな、上手くヘイトをお互いに分散させてる。
でもなー、私はこの映画、ヴィーガンを敵認定で作っているようには感じなかった。
全員キチガイっていうところが一貫してて良い。
魅力的なキャラクターが一人も存在してない。
特に妻が酷い。友人の金持ち自慢に当てられ、
要求するものと言えば贅沢な暮らしとセックス。
夫を殺人へと追い立てるのもこの女である。
夫は最初は葛藤があり、そして
娘の彼氏を逃すなど良心を見せてはいるが。
人肉を捌いて得たもので幸せを感じて、
妻との仲も戻ったしラッキー🤞なんて、
製作者は肉屋を良く思っていないのかな?邪推。
友人夫婦の肉屋が「偽物の肉」を
売って稼いでいる事が気に食わない、
自分は本物を売ってるんだ、という
誇りを持っていたはずなのに、
たまたま「売れる肉」が手に入ったら、
誇りなど投げ打つのだから。
友人夫婦もクソだけど、
主人公夫婦もクソミソ。
このへんの胸糞さを通り過ぎると、
「ヴィーガン狩り」が始まる。
個体によって味が変わることや、狩り方。
実際の猟を踏襲して行われている。
獲物が人間に変わることによって、全編通してシュールな絵になっているが。
なんだろうな、こう、映画を見ていても、人間を狩りたい不健全な欲求を感じることがなかった。
自分達に酷い事を言った若造も手にかけなかったので、復讐心も感じない。
最後に、美味しかった人肉への未練をオチにしているが、面白いだとか、皮肉が効いているだとかを、表したいんじゃ無いんだろうなと感じた。
「欲求」の卑しさ、それを捻って捻って落とし込んだ感じ。
犬が睾丸狂いになっていたの見逃してないよ。
どんだけ狂った世界観でも犬の忠誠心だけは変わらないものだね。
「欲求」を見下す雰囲気なのだけれど、
一生欲求のそばで生きていく矛盾のような。
カニバリズムをオシャレに表現しようとしてみても、やっぱり下卑た残り香が消えないような。
もっと、製作者の嘘のない性癖が見たいなぁ。
変に取り繕わないで良いからさぁ。
そんな風に感じましたね。
褒めていないレビューですが、
面白かったので評価高めです。