このレビューはネタバレを含みます
R15+
いや、想像を超えてきましたね。凄い。
凄く良かったです。
序盤は冗長かも知れないと心配しながら見ていたのですが、「本当のエスター」の真相が判明してから急激に面白くなりました。
もう一度見直したら、序盤の母親や兄の挙動もまた違った見え方になることでしょうね。
そういう、真相が判明してから何もかもがひっくり返る話を、続編でも実現していることに感動しました。
そして、1の前日譚としても、エスターの絵画の才能を伸ばしたエピソードを深く知ることができて満足度が高かったです。
エスターのビジュアルとしては、正直違和感は拭いきれません。
不自然に大きな瞳、細かい皺、ミドルアップ構図の多さ、身長のわかる引き構図では大体後ろ姿であること、です。
パンフレットには、子供に見せるためにコンタクトを入れて黒目を大きくしたと書いてありました。これが違和感を加速させた感覚はあります。
ただ、前日譚としての続編のため、視聴者は彼女がもう30代であることを知っていると想定すると、大人の顔である彼女を受け入れることも出来るのかなと。
1のラストでは逆に黒目を小さくするコンタクトを入れたと書いてあったので、繋がりを考えると彼女の顔への違和感を強めてしまった可能性もあります。
前回よりサラシを巻くシーンなどを増やして、彼女は成人女性であることを強調しているため、リアリティは上がったように思いました。
精神病院で最初に出てきた女性アンナが、エスターに同情を示すシーン。
あれは女性ならではの感情なのかも知れません。
その後、男性職員が「彼女を甘く見るな」と警告するわけですが。
女性にも性欲があるということを本当に理解しているのは女性なのかも知れません。
こんなことを公共に向けて声高々に吹聴して回るなどあり得ないこと。
一桁年齢の時にポルノ雑誌を隠れて見ていた私の、周りの同級生からだって早々な年齢でショーコミを読みながら「F爆弾」を覚える、って聞いていましたから。
別にこんなのは普通のことです。わざわざ言うことではないとは思いますが。(こんなところに書くなというツッコミが来そうですね😶🌫️)
そのまま身体が成長すれば、それに準ずる経験を重ねていくものですが、彼女は9歳でずっと時が止められたままなのです。
絵本には王子様と結ばれるレディが出てくるものですが、そこには絶対に手の届くことのない彼女。
それが、エスターの男性への執着に繋がっているのだと想像に容易いです。
だから、冒頭の女性がエスターに同情を示した事には納得がいきます。
多分、視聴した人の中でエスターに憐憫するのは女性の方が多いんじゃないかなぁと予想します。
1の時の夫婦の言い合いの内容にも現れていましたが、男女の違いを上手く使ってお話を深くするのがとても得意な人が、制作に関わっているのかなぁ…と感じました。
ただ、彼女が化け物となったエピソードとしてはやはり弱さを感じてしまう面もあります。
水底から君を呼ぶの綾乃くらい不遇であれば、殺人鬼と化してしまうのを誰もが納得するでしょうが、そういった背景を描写することが不可能なので、誰もが納得いく殺人鬼像には成れないのが残念なところではあります。
意味のないサイコパスで一貫しているわけではないから、31歳までの間にどんな葛藤があったのかは気になるところです。
題名のファーストキル、本当に初めてか?と思いはしますが、やはり1よりはエスターの化け物度は低めです。むしろ、引き取った家族のほうが化け物だったのかも知れない。
そして運良く乗り越えたエスターは、邪悪さのレベルを一個上げて、次に向かっていくことになったのでしょう。
追記:エスターの魅力は様々あると思うんですが、私が一番好きなシーンは冒頭で手懐けた患者に飴を投げるところです。
リーナはもう戻らないつもりで脱走するのだから、患者などそのまま放って出て行って構わないはずなのに、最後に飴を与えた意味は、また利用できるように徹底したのだろうと感じました。
前作と同じで、自分にとって有利な人間を使うという一貫性があります。
そして用が済んだら躊躇いなくXす。