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福田村事件のyonemakoのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
3.5
関東大震災の混乱時に朝鮮人が襲撃され、大勢が命を落としたことは比較的知られているけれど、朝鮮人と間違われて日本人が命を落とす事件も複数発生していた。その1つがこの事件。讃岐から福田村に来ていた薬売りの行商人が朝鮮人と間違われて15人のうち9人が惨殺された。

その「福田村事件」をテーマに選んだ時点で、この映画の成功は8割がた約束されていたと言ってもいいと思う。作品化したことは大いに意味がある。

だけど、、、映画を観終わってからだんだんと気になる点が頭に浮かんできた。思いついたことを書いてみる。

・言葉(方言)が通じなかったことがポイントのはずなのに、映画ではそれが十分に表現されているとは言えない。
・惨殺の引き金を引くのが女性(の勘違い)からというのは違和感がある。東京新聞のコラムでは、(日本人男性の)観客に「免罪符」を与えていないかと指摘されてた。
・田中麗奈と東出、コムアイと東出、柄本明と息子の嫁など、無駄なお色気シーンがある。脚本に荒井晴彦の名前。昭和っぽい。
・暴行に加わった自警団と傍観していた人々という構図だけど、傍観していた側に「映え」る俳優が揃えられている(東出昌大、井浦新、田中麗奈)。
・木竜麻生演じる女性新聞記者がいろいろ正論を述べるところがちょっとツライ(演劇ならOKだと思う)。
・福田村事件だけで十分重要なはずなのに、被差別部落問題とか共産主義者弾圧とか韓国で起きた事件とか、あれもこれもぶっこみ過ぎている。(井浦新が話す韓国語のセリフに字幕がないのはなぜ?)
・低予算のせいか、東京から大量の被災者が流入して不安が高まったと思うけど、そういう描写もほぼない。

疑問が残ったので、映画公開を記念して再発されたノンフィクションの「福田村事件」を読み始めたところ。個人的に気になるのは、

・朝鮮人を殺しても良いと最初に命令したのは誰か?
・事件はいかにして知られるようになったのか?
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