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怪物のyonemakoのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
4.8
坂元裕二ドラマの大ファンで是枝作品もほとんど見ている自分。最初から期待高めで映画館へ行ったけど、それでも予想を上回る出来で「やられた~」。

学校のいじめのシーン、短いカットを積み重ねるだけでいじめの構図を的確に表現していて、本当によくできている。実際にいじめに遭遇したことがある人なら分かると思う。自分の担任も直訴しても聞こえないふりをするような人で、多少は誇張されているけど、学校側の無気力さと事なかれ主義もその通りだと思えた。

そういう意味で安藤サクラ演じる母親をモンスターペアレントとするのは少し酷かも。彼女に見えてないものがあるとしても、第一部は自然な流れ。

校長先生も何を考えているか分からなくて不気味だけど、依里の父親がストロング缶500を手にして登場した時は、すごいインパクトあった。でもカンヌの観客にそこまで伝わったかな?ちょっと気になった。

あちこちで書かれているけど「羅生門」風の作り。普通に引き込まれ、登場人物の視点で物語を理解していて、それが別の視点から見たら勘違いだったということが明らかになる。また、親や学校が善意やルールで押し付けていることが子供を追い詰めているという意味では、もっと幅広い意味を持っていて、一部で反発もあった「LGBTにカテゴライズせずに観てほしい」という監督の発言は、全くその通りと思えるものでした。

最後の15分は監督のアイデアでシナリオと違うらしいので、シナリオブックを購入したけどまだ読んでない。読まなきゃ。
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