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幻滅のyonemakoのレビュー・感想・評価

幻滅(2021年製作の映画)
4.5
原作はバルザックの『幻滅〜メディア戦記』。フランスのアカデミー賞に当たるセザール賞で、作品賞、最優秀助演男優賞、有望新人男優賞を含む最多7冠を受賞。日本での扱いは驚くほど小さかったけど、セザール賞最多受賞作は期待を裏切らない。

昔の話と思いきや、ナポレオン三世の時代にタブロイド新聞が仕掛けるステマが物語の主な部分を占めており、予想外に現代的でした。バルザック自身の経験も投影されていると思う。

カナダ出身でフランコフォン(フランス語)映画をけん引するグザヴィエ・ドランが主要キャストの一人を演じるほかナレーションも担当。

物語のもう1つの軸は身分の差。母が没落貴族の出身でも父系社会では貴族の出身とは認められない。主人公は母の旧姓を名乗り、身分復活を申請するがそれは敵わない。貴族の女性とただならぬ関係が人の知るところとなり苦難に陥れられる。貴族の女性と、卑しい身分の女優の女性のコントラストが良い。同じくバルザック原作の『ランゲ侯爵夫人』(ジャック・リヴェット)で主演したジャンヌ・バリバールが黒幕となる貴族の女性として登場。

ドレフュース事件を扱った『オフィサーアンドスパイ』(ゾラ原作)もそうでしたが、とにかく衣装やセットが豪華。とても見応えがある。セザール賞の有望新人男優賞に輝いたバンジャマン・ヴォワザンが超イケメンで眼福。
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