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ウーマン・トーキング 私たちの選択のyonemakoのレビュー・感想・評価

3.0
実際の事件:2005~09年、少なくとも150人以上の女性たち(下は3歳から上は60代まで)が動物用の催眠スプレーを使った犯人によって被害に逢っていたボリビアのゴースト・レイプ事件。女たちがいくら異変を訴えても、幻想に違いないと取り合ってもらえなかったが、犯人のうち2人を女性たちがとらえたことで明るみに出て、ボリビアの警察当局が介入し、犯人には実刑が下った。しかし警察が介入したのは1度だけで、女性たちは村を出ていないし、置かれた状況もほとんど変わっていない。

映画を観ただけでは納得できないものが残ったので色々調べてみたら、実際の事件にインスパイアされたフィクションが映画の原作で、原作者はカナダ出身のメノナイト(でも18歳で離脱)の作家ということが分かった。

少なくとも原作のレベルではボリビアの話なのだろうけど、映画の脚色の段階で場所が変わったようで(南十字星のエピソードはあるけど、デイドリームビリーバーだし、キャストは英語を話しているし、どう見ても北米)、混乱する。メノナイトは新大陸に移住した年代も世俗化の程度も様々だけど、同化を求められ、それを拒否した最も保守的な集団が1950年代に南米に移住したようだ(オランダ語の影響を受けた低地ドイツ語を話しており、現地の公用語を話せない)。

#MeToo の普遍的な物語にするために敢えて場所をぼかしたのだろうけど、ルーニー・マーラやクレア・フォイ、F・マクドーマントといった意志の強そうな女性たちが英語を話していると、何を迷うことがあろうか、「出ていく」一択じゃないか、と見えてしまったのが違和感の正体だったかも。
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