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暗殺の森のyonemakoのレビュー・感想・評価

暗殺の森(1970年製作の映画)
4.8
ここ半月程でアンテナを付け替え、レコーダーも4K対応に変えて、WOWOW 4Kが観られ録画もできるようになったので、試しに『暗殺の森』リマスター版を録画してみた。リマスター版もピンキリだけど、2022年に完成したこれはクオリティが高い。2Kでも録画したけど、その違いまではよくわからなかった。4Kといってもなんちゃってだという話もある。因みにBlu-Rayも持ってる。

モラビアの『孤独な青年』を原作とする『暗殺の森』は、ベルトルッチの最高傑作と言っても良いと思う。何度も観たけど、パリやローマのロケ・シーンの撮影が素晴らしい。さらに、イタリアの現代史がギュッと詰まった感じで、世界及び日本で有名な『ラスト・エンペラー』とは大きな違いがある。(坂本龍一は音楽家としては素晴らしい仕事をしたけど、甘粕正彦役はどうみても無理があった)。ベルトルッチはやはりイタリアを描いたものの方が数倍素晴らしい。

少年の頃に性的虐待を受けた主人公がファシストに取り込まれる「協調主義者(原題は、il Conformista)になるという主題のも、なんだか今の日本の状況と似ているかもしれない。パゾリーニの作品やブニュエルの『昼顔』でも強烈な印象を残したピエール・クレマンティの怪演も注目点。

有名なダンスシーンに使われたパリ郊外の建物は現存している。5年前最後にフランス行った時に突き止めたけど時間がなくて辿り着けなかった。いつか行けるかなあ。聖地巡礼ってやつ?
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