会議前の根回しに、意見のぶつかり合い。一見どこにでもありそうな会議で話し合われていたのは、効率良くユダヤ人を殺害するにはどうしたらいいか、混血もユダヤ人として殺害対象か、ユダヤ人の財産はどうするか、といった事々···。
真剣に話し合ってる姿は、ビジネスマンのそれと変わらないのに、議題は「ユダヤ人問題の最終的解決」についてなんだから、ズレてるんだよな、と感じずにはいられなかった。
一瞬もしかして？と思えた発言も、結局は殺す側のメンタルを配慮しただけのものだったりして、ユダヤ人を憂う者など誰もいない中で決定されていくあれこれ。これがのちの大量虐殺に繋がるんだから、善も悪も同じテーブルの上で決まっていくんだな···と思った。
管轄内での厄介事が増えないように、上司に良い報告が出来るように、各々の立場だけで進んでいくヴァンゼー会議。真面目に人命を軽んじるなんて、と嫌な気分になったけれど、ただ。
発言権がなければ退屈で、自分に関係がなければ億劫で、そんな会議につきものなのが眠気で。会議序盤、少しうつらうつらした自分が、この参加者たちとそう変わりない事に気付かされてしまい、なんてこととちょっと恥ずかしくなった。
そういう意味でも、本当にとても嫌な会議だった。
#11_2023
