sugar708

ウィッシュのsugar708のレビュー・感想・評価

ウィッシュ(2023年製作の映画)
4.0
星に願い続けたディズニー100年の歴史。

まず、冒頭に上映されたワンス・アポン・ア・スタジオ -100年の思い出-に私はやられてしまいました。

キャンセルカルチャーやポリコレの観点により過去の作品やウォルト自身にも様々な意見はあるかと思いますが、一旦はそれを脇に置いて、100年もの間多くの人に愛される作品を作り続ける会社と生み出されたキャラクター、その歴史を思うとそれだけで涙が溢れました。

さて、ウィッシュ本編ですが、良くも悪くも現代社会の象徴を詰め込んだ映画だなと。

ディズニーのプリンセス像は、その時代に合わせて変化していますが、本作も同様に現代的なビジュアルをしています。

また、王が民の願いを集めるという設定も、思想という人間のもっともパーソナルな部分、個人情報を収集するという監視社会的な意味合いも含んでいるのかなと。そこからの脱却、反体制というのは正に社会問題の王道的な描き方に思えます。

その他にも、個人ではなく様々な人種の友人がチームで挑む流れ、男性王政から女性王政への転換、自らをイケメンと称するマグニフィコ王は見方によってはルッキズムとも取れますし、劇中歌である真実を掲げの曲調、よりミュージカル寄りになった構成、全てが現代ディズニーの集大成的な作品のように見えました。

ただ、100周年記念作品という荷が重すぎる冠がついてしまった作品だけに、それに相応しいか、歴史に残るかなど越えるには高すぎるハードルになってしまったのかなという印象は否めませんが・・・

それでも、一緒に観に行った3歳の娘はスターが可愛いとお気に入りだったようで、ミッキーたちのようなアイコンになることは難しくても、こうやって新しい作品やキャラクターを生み出していけるということには脱帽しかありません。

ディズニーにはこれから先も、娘たちと一緒に観ることができる素晴らしい作品を作り続けていってもらいたいと切に願う作品でした。
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