sugar708

シモーヌ フランスに最も愛された政治家のsugar708のレビュー・感想・評価

4.0
彼女の人生を通して人間がどう生きるべきかを説いてくれる作品。

フランスで最も愛されている政治家シモーヌ・ヴェイユ。ホロコースト体験者であり、女性初の欧州議会長に選出された彼女の生涯を描いた本作ですが、女性のため、エイズ患者や囚人のため、フランスのために奮闘する彼女の姿は「弱き者を助ける」政治家の本来あるべき姿そのものに見えました。

彼女の原動力、根源には恐らくホロコースト当時に自分、何よりも家族を守ってくれなかった体制にあるのかなと。人が窮地に立たされたときに見捨てる国ではなく、拾い上げてくれる国でありたい。

あの日失った家族のため、誰かにあの時自分が感じた絶望をもう二度と味わわせないため、時に自分の家庭を犠牲にしながらも闘う彼女の姿には胸を打たれました。

この作品で描かれる大きな部分として、ヴェイユ法とよばれる人工中絶を認める法案があります。

彼女が闘い抜き、勝ち取ったものが長い年月を経ながら今日の女性の権利に繋がっていると思うと彼女がいかに偉大なことを成し遂げたのかがわかります。

物語の最後に彼女は現在世界で起きている様々な問題を憂うシーンがあります。彼女の生き様を通して、我々は改めて人間がどう生きるべきかを見直す必要があるのかもしれません。
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