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山女のkのレビュー・感想・評価

山女(2022年製作の映画)
3.4
東京国際映画祭、残念ながら今年は本作のみの鑑賞となってしまいました。

福永監督の過去作は一切未見です。

「遠野物語」をベースに、いくつかの要素を切り取り、物語を紡いでいった、と。
監督自身がニューヨークで映画を学んだこともあり、日本の風土や伝承にすごく興味があって、それをニューヨーク時代の友人や、知り合いとともに作品づくりを行っている、とのこと。
だからカメラマン含め、スタッフは外国人がちらほら。
「why japanese people!!」的な視点が働いているのか、第三者視点からの解釈が備わっている脚本の印象です。

ストーリーは至ってシンプル、というかこうなっちゃうんだろうなぁ、というのが起っていきます。
寓話的なんだけど、根底にはやはり男尊女卑の差別であったりが含まれているわけですが、監督曰く着想はコロナ禍初期の罹患者に対する冷遇だったとか。

新鮮味はないけど、やはりアメリカ人カメラマンのダニエルが切り取った実景が美しい。
実景なのにどこか作品の不穏さを孕んだ早池峰山に、森。

森といえば森山未來のキャスティングだけ謎だったのが気になったなぁ。あの目が決め手なのか、演技力?それともコンテンポラリーダンスで魅せるあの不気味さ、表現力?
で、永瀬正敏さん、さすがです。
あの立場の憎たらしいのに、どこか家族思いな側面を匂わせるような含みのある人物表現、台詞ではハッキリそれと言わせないながらも、そこは本当に演技力で持っていった印象。
山田杏奈と二ノ宮隆太郎の素朴というか、田舎臭い自然さもすっかり世界に溶け込んでいましたね。恐らく聞き取りやすくアレンジが加わった方言の違和感さえ取り除けば問題なしです。

後で知ったんですけど、これ元々NHKのドラマだったんですね。それを劇場用に再構成したと。
だからどこか煮え切らない演出があったわけだ、と納得。
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