このレビューはネタバレを含みます
めちゃくちゃ好きだった
観ることができてよかったです、本当に
カラムとソフィの過ごした夏の休暇を観ていると、リアルタイムで時を2人と共有しているかのようにも感じるし、そしてその一瞬一瞬が本当に脆くて繊細な移ろいをして、すぐにかき消えたり朧げになったりしてしまいそうだった。
同時刻上で二人を見ながらこの瞬間が消える予兆もわからずに遠くに行ってしまいそうな感覚が常にありました。特に鏡や光沢のある面に映る/影/浮かび上がるチェキ写真そういう実像ではない二人の姿と二人がその場でしている会話が聞こえるシーンが印象的で、二人の間の親密な時間とそれを構わずに進んでいく時間の存在が意識されました。
不可能だけど、2人が共有した時間どれもが2人の記憶から溢れないで欲しくなった。靴履いたまま寝ちゃったソフィの靴をカラムが脱がせてあげてその足の指が少しもぞっと動くカットがなんだかめっちゃ好きだった。ソフィ目線でみたカラムの記憶という感じが急激にしました
また、2人が共有した時間以上に2人がそれぞれ知らないところで起こった出来事も印象的でした。
ラストシーンで父親と同じくらいの年齢になったソフィの視点がみつめる状態で、初めてカメラに滲んだカラムの眼差しの実体(?しっくりくる言葉がわからない)の視線を直視して、今まで観ていたあの夏の時空間とはもう交わらないことを実感してしまうし、カラムからソフィへの眼差しだけは時が止まったままビデオを見て思い返すたびにその時間との遠ざかりを無効化して現時刻に接触して来てくれるような感触をありありと抱かせられました。またこの感触は二度と交わらない時間との距離を鮮明に突きつけてくる側面もあり、あまりにも印象的で見た後も胸を締め付ける感じがして、余韻がなかなか抜けないです このシーン本当に凄まじかったです
過去の時間に現在の状態で介入できないけど、記憶の中や思念のなかで昔触れなかった部分に触れる/触れようとすることはできて、この作品で起こるそれは結構苦しく、そして尊いものだったと感じました
観ることができて良かった、良かった.....
日差しを多く浴びた後とか泳いだ後でぐったり眠くなりまどろんでいく感じを追体験したような気がします 作中でソフィが骨が重くなった感じと言っていたのってもしかしたらこんな感じなのかな〜などと思ったりしました
カラムはどんな気持ちで空を見上げてたんだろうか、とか絨毯を買った時の気持ちとか、彼の心理の機序は語られず結果と暗示
で描かれる分、観た後もずっと頭から離れず考え続けてしまう
湧き上がる感覚や感情に語彙を当てはめるのが難しく、ホワホワと要領を得ない感じになってしまった....