へたれ

独裁者たちのときのへたれのレビュー・感想・評価

独裁者たちのとき(2022年製作の映画)
3.5
良かったとこ1 謎のユーモラスさ
煉獄で独裁者たちが自己顕示しつつ、お互いをディスり合うという救いがない話なのに、むしろ笑えてくる。ディープフェイクというにしては合成が明らかで、むしろモンティ・パイソン時代のテリー・ギリアムがやってたようなアニメをデジタル技術でアップデートさせたようなユーモラスさが面白かった。

良かったとこ2 独裁者たちの人間っぽさ
煉獄に閉じ込められた人たちというシチュエーションは、サルトルの「出口なし」を思わせるけれど、独裁者たちが語るのはお互いの罪ではなく、あいつは臭いだの酒を送ってこなかっただのと極めて人間っぽい不平不満。男性性をむき出しにしてダラダラとしゃべってるだけの独裁者たちには、カリスマ性が感じられないのが良い。しかもヒトラー、ムッソリーニ、スターリンだけでなく、チャーチルやナポレオンまで俗っぽく描かれていて、肥大化した男性性が独裁者を生んだといった批評的メッセージが見えたのも良かった。

ダメだったとこ 展開がない
78分と短いけど、それでも長く感じる。シチュエーションが与えられてそこからほとんど話に展開がないので、同じことを繰り返しているように見える。
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