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梟ーフクロウーのmaroのネタバレレビュー・内容・結末

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

2024年日本公開映画で面白かった順位:8/26
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★

身近にいる数少ない映画フリークの友達に薦められて鑑賞。
いやはや、この映画、すごすぎるでしょ。
いわば朝鮮の時代劇といったところだけど、実話ベースの中にうまくフィクションを織り交ぜて至高のサスペンス・スリラーに仕上がっていた!
以下、ネタバレになっているのでご容赦ください。

この映画、見どころが2つあって、まずはその設定。
主人公のギョンス(リュ・ジョンヨル)は盲目の鍼師なんだけど、彼自身は架空の人物。
朝鮮史に残る怪死事件の真相を、盲目のギョンスを使って解き明かそうっていう話なんだよね。
ギョンスは盲目なのにいろいろ手際がいいのが若干気になるんだけど、実はちょっとした秘密がある。
まあ、目が見えないことに変わりはないんだけど、夜になるとちょこっと見えるらしい(だからこその『梟』というタイトルにも納得)。
でも、宮廷で働くことになった彼は、一貫して全盲を貫いている。
その方が何かと都合がいいから。

その設定がこの映画の面白さに直結する。
前半はギョンスが宮廷で働き始めるまでを描いていて、特段大きな動きはないんだけど、それが後半になってからガラっと変わる。
なんと、ギョンスの目が見えないのをいいことに、彼の目の前で王である仁祖(ユ・ヘジン)の子が殺されてしまうのだ。
本人も全盲ということにしてあるから、当然見えないフリを続けなければならず、目の前の凶行を止めることもできないし、後から声を上げたところで信じてすらもらえない。
さらに、黒幕となっている仁祖とのパワーバランスから、下手したら自分が殺されてしまう可能性も。。。
それでも彼はわずかな理解者と共に証拠集めに奔走し、仁祖への反逆罪をものともせずに真実の追求を試みる。
このテンポのいい展開と、終盤からラストにかけての悲劇と喜劇のダブルパンチはマジで秀逸だった。

もうひとつは、仁祖を演じたユ・ヘジンの演技力。
韓国映画にこの人あり!って言うぐらい、いろんな映画で見かける役者さんなんだけど、個人的にこの人メチャクチャ好きなんだよ。
『コンフィデンシャル』シリーズ(2017-2022)における熱血刑事や『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017)における情に厚いタクシー運転手など、“いい人”のイメージが強い。
ところが、今回は180度変わって、政治的理由から我が子を手にかけるよう暗躍する悪どい王の役だ。
冷酷かつ非情なキャラクターなんだけど、服装の関係もあって、しばらく仁祖がユ・ヘジンだと気づかなかった。
主人公のギョンスも印象的だけど、個人的には仁祖の方が存在感が大きかったと思う。

そんなわけで、朝鮮の時代劇×新感覚サスペンス・スリラーって感じで、世界観も物語の運びも最高に面白かった。
夜のシーンが多いので若干全体的に見えづらいのと、「ギョンス見えすぎでは」というツッコミもありはするけど、そんなの気にならなくなるぐらいには圧倒的に引きつけられる内容で楽しめた!
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